ポジティブリストと容器包装の対象範囲を初心者向けにやさしく整理
「どこまでが対象?」「ホームセンター品は大丈夫?」をスッキリ解決。
迷いやすいポイントを、実務目線でかみ砕いてまとめます。
「この容器、ポジティブリストの対象なの?」
食品を扱う現場で、容器包装についてこんな疑問を感じたことはありませんか。
紙や段ボール、プラスチック、ゴム製品まで種類はさまざま。
しかも
「登録が必要?」
「証明書は?」
「ホームセンター品はNG?」
と情報がバラバラで、調べるほど混乱しがちです。
そのまま曖昧に使ってしまうと、後から取引先や監査で止まるかも…
と不安になりますよね。
この記事では、ポジティブリストと容器包装の考え方を、初心者でも迷わないように整理。
どこまでが対象で、何を確認すればいいのかを、実務目線でやさしく解説します。
続きを読めば「判断の軸」がきっと見えてきます。
- 対象は食品接触の合成樹脂
- 登録制ではなく範囲で管理
- 証明書は説明のために要る
- 家庭用は情報不足で注意
- 食品側の層で判断すると楽
ポジティブリスト制度の全体像を初心者向けに整理した総まとめはこちら →
- ポジティブリストと容器包装はどこまでが対象になるのか基本整理
- 容器包装に関わるポジティブリスト実務と判断ポイント
ポジティブリストと容器包装はどこまでが対象になるのか基本整理

「容器包装は全部ポジティブリストの対象なの?」
この疑問は、食品に関わる人なら一度は感じるポイントです。
ここでは、制度の細かい条文に入る前に、容器包装が“どこまで対象になるのか”を判断するための基本的な考え方を、初心者にもわかる言葉で整理します。
- 容器包装ぜんぶが対象じゃない。判断軸がある。
- 話の中心は、食品に触れる部分の合成樹脂(プラスチック等)。
- 紙・段ボール・金属などは原則別枠(ただし食品側に樹脂層があると話が変わることも)。
- 素材 × 触れ方 × 構造を押さえると、全体像が一気に見える。
ポジティブリストと容器包装の関係をまず全体像でつかもう
ここでいう「ポジティブリスト(PL)」は、超ざっくり言うと「使っていいものだけOK」という考え方です。
ただし大事なのは、容器包装なら何でもPLで管理するわけじゃないってところ。まずは“対象の中心”を押さえると、一気にラクになります。
迷ったらこの順
(プラ容器、ラップ、樹脂フィルムなど)
食品側に樹脂層があると「樹脂部分」が論点に
(PLの説明をそのまま当てはめるとズレやすい)
まず覚える3つの判断軸(これだけで迷いが激減)
紙・金属・ガラス?
触れない?(設計が大事)
食品側に樹脂がいる?
ポジティブリストと容器包装の「対象イメージ」早見表
| 容器包装の例 | 食品に触れる? | 樹脂の層 | PLとの関係(ざっくり) |
|---|---|---|---|
| プラ容器・トレー・カップ | 触れる | 主役 | ✅ 中心的に対象 |
| 紙コップ(内側が樹脂コート) | 触れる | あり | ⚠️ 樹脂部分が論点 |
| 段ボール箱(外装で直接触れない) | 基本触れない | なし | ↔️ 中心から外れやすい ※ただし構造次第で例外あり |
| ラップフィルム | 触れる | 主役 | ✅ 対象ど真ん中 |
| 金属缶・ガラス瓶 | 触れる | なし | 🧩 別枠になりやすい PLの説明をそのまま当てはめるとズレやすい |
- 「容器包装=全部PLでOK/NGが決まる」ではありません。
- PLは、説明の中心が合成樹脂(プラスチック等)になりやすいです。
- 紙でも食品側に樹脂の層があると、「その樹脂部分」が論点になりやすいです。
「制度の全体像」だけ、30秒で理解するミニ年表
このあと「段ボールは?市販品は?証明書は?」に入っても迷わないように、まずは
①合成樹脂が中心/②食品に触れるか/③食品側に樹脂の層があるかを、頭の中の“地図”として持っておくのがコツです。
容器包装とは何を指す?器具との違いをやさしく整理
「容器」「包装」「器具」――言葉は聞いたことがあっても、どう違うのかを説明できる人は意外と少ないです。
ここでは法律用語を丸暗記するのではなく、日常のイメージで“ざっくり区別する考え方”を整理します。
容器・包装・器具のざっくりした区別
食品を中に入れて保持するもの。
食品と一緒に動き、中身と一体で使われるイメージ。
容器や食品を包んで守る・まとめるもの。
外側から支える役というイメージ。
食品を作る・運ぶ・扱うために使う道具。
食品そのものには含まれない。
- 食品を入れている → 容器
- 食品や容器を包んでいる → 包装
- 食品を扱うための道具 → 器具
食品に「触れるかどうか」が判断の出発点
ポジティブリストの話になると、ここが一番大事です。
「容器か包装か」よりも先に見るべきなのが、食品に触れるかどうかという点です。
食品に直接触れる部分かどうか
これが、容器包装がポジティブリストと関係するかを考える最初の一歩です。
- その部分は食品に触れる?
- 触れるなら、どんな素材?(特に合成樹脂か)
- 食品側に樹脂の層がある構造になっていないか
- 「外側の包装だから関係ない」と思い込む
- 紙・段ボールなら無条件で対象外だと考える
- 容器・包装・器具の言葉の違いだけで判断してしまう
実際には、食品に触れるか/触れる構造になっているかを見ないと判断を誤りやすいです。
ここまでの整理:
容器・包装・器具の言葉の違いよりも、「食品に触れるかどうか」が最優先。
これを起点に考えると、次の「どの素材が対象になるか」がスムーズに理解できます。
ポジティブリストで容器包装が対象になる基本ルール
ここは「細かい条文」よりも、判断の型を持つのが最強です。
ポジティブリスト(PL)の対象かどうかは、ざっくり言うと「食品に触れる面の素材」と「その素材の役割」で決まります。
ここでは、対象になりやすい素材と、逆に対象外になりやすいケースを「判断ルール」として整理します。
迷い防止
- 食品に触れる面の素材が何かを見る
- その素材が合成樹脂(プラスチック等)なら、PLの話題の中心になりやすい
- 紙や金属でも、食品側に樹脂の層(コート/ラミ等)があると「その樹脂部分」が論点になりやすい
対象になりやすいのはどんな素材?
- 食品に触れる面の“最後の層”を見る
- 樹脂コート/ラミがあればその樹脂が主役
- 貼り合わせや印刷は食品との距離で考える
- 「紙製だからOK」で止まる
- 「段ボールだから対象外」で止まる
- 接着・ラミ・コートを存在しない扱いにする
対象外になりやすいケースの考え方
「対象外」は、単に“素材が違うから”だけではありません。
初心者が混乱しやすいのは、“食品に触れない設計”や、“別のルールで見た方が自然なもの”が混ざるからです。
ここでは、対象外になりやすい考え方を、使えるルールとしてまとめます。
- 食品に触れない(かつ触れない構造)なら、まず対象の中心から外れやすい
- 食品に触れても、合成樹脂が論点になりにくい材質は、同じ説明が当てはまりにくい
- “紙・段ボール”でも食品側に樹脂層があるなら、対象外と決め打ちしない
たとえば輸送用の外箱など、食品に直接触れないものは、PLの中心から外れやすいです。
ただし、ここで大事なのは「本当に食品に触れない設計か」という点。
食品に触れていても、合成樹脂(プラ)中心のPL説明をそのまま当てはめるとズレるものがあります。
ここは「対象外」と断定するより、別枠で整理されがちと考える方が安全です。
「全体で対象/対象外」ではなく、食品側の層だけが論点になるパターンです。
ここを見落とすと「対象外と思ってたのに…」が起きやすいです。
| 見方 | 対象になりやすい | 対象外になりやすい | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 食品接触 | 触れる面がある | 外装で触れない | 「触れない設計」は前提条件 |
| 素材 | 合成樹脂(プラ等) | 金属・ガラス等 | PLの説明の中心は樹脂になりやすい |
| 構造 | 食品側に樹脂層がある | 樹脂層が食品側にない | 「部分的に対象」が起きやすい |
ポジティブリストで容器包装が対象になるかは、「食品に触れる面」→「素材(特に合成樹脂)」→「食品側に樹脂層がある構造」の順で見るとブレにくいです。
次は、このルールを使って「具体例(紙・段ボール・金属など)」をもっと分かりやすく切り分けていきます。
紙・段ボール・金属は容器包装のポジティブリスト対象?
「紙や段ボール、金属ってポジティブリスト(PL)の対象なの?」 ここはYES/NOで答えにくいポイントです。 ここでは、“原則”と“例外”を分けて考えるコツを、できるだけシンプルに整理します。
原則と例外
- 紙・段ボール・金属そのものは、PLの中心からは外れやすい
- 理由は、PLが合成樹脂(プラスチック等)を主軸に設計されているから
- ただし、食品側に樹脂の層があると、その部分はPLの考え方が関係する
段ボールが原則対象外とされる理由
段ボールは、食品業界ではとても身近ですが、ポジティブリストの「ど真ん中」ではありません。 その理由は、法律がどうこう以前に、役割と構造にあります。
多くの段ボールは、輸送・保管のための外箱。 食品はすでに袋やトレーに入っていて、段ボール自体は食品に触れない構造が基本です。
PLは、もともと合成樹脂の材料・添加物を整理するための制度。 紙素材そのものは、PLの設計思想とズレやすい位置づけです。
段ボールは、PLというよりも、衛生管理・異物混入対策など、 別の視点で安全性が語られることが多い素材です。
- 食品は内袋・内装容器に入っている
- 段ボールは輸送・保管用の外装
- 食品側に樹脂の層が存在しない
例外として注意したい加工やコーティング
ここが一番の落とし穴です。 「段ボールだから安心」で止まると、例外を見逃しやすくなります。
食品に触れる面が紙ではなく、樹脂やコーティングになっている場合、 その樹脂部分はPLの考え方が関係してきます。
紙や段ボールの内側に、防水・防油のための樹脂層がある場合、 食品に触れるのは紙ではなく樹脂になります。
テイクアウト容器など、食品を直接入れる紙製容器は、 ほぼ必ず食品側に樹脂層があります。
食品に近い位置に接着剤・印刷層がある構造は、 「どの層が食品側か」を丁寧に見る必要があります。
このパートのまとめ:
紙・段ボール・金属は、素材そのものを見るとPLの中心から外れやすい。 でも本当に見るべきなのは、食品に触れる「最後の層」。 そこが樹脂なら、部分的にポジティブリストの考え方が関係する――これが基本ルールです。
プラスチック容器包装が特に重視される理由
ポジティブリスト(PL)の話になると、必ず中心に出てくるのがプラスチック容器包装です。 「なぜプラスチックだけ?」と感じる人も多いですが、これは偶然ではありません。 ここでは、制度がプラスチックを重視する理由を、仕組みからやさしく整理します。
なぜ中心?
- プラスチックは材料の種類が多く、混ぜ物も多い
- 食品に触れると成分が移る可能性が他素材より議論になりやすい
- 「溶け出す可能性」をコントロールするのがPLの役割
なぜプラスチックが中心なのか
プラスチックが特別扱いされているように見えるのは、 「危険だから」ではなく、「性質が他の素材と違うから」です。
プラスチックは、樹脂そのもの+いろいろな補助材料でできています。 同じ「プラ容器」でも、中身はまったく別物ということが普通です。
プラスチック容器は、食品を包んだまま長く保存されることが多いです。 触れる時間・面積が大きいほど、安全性の考え方が重要になります。
金属やガラスと違い、プラスチックは中身の成分が目で見えません。 だからこそ、ルールで管理する仕組みが必要になります。
- 材料が比較的シンプル
- 成分が溶け出しにくい
- PLの説明をそのまま当てはめにくい
- 材料・配合がとても多様
- 条件次第で成分が移る可能性
- PLの考え方と相性がよい
「溶け出す可能性」が判断ポイントになる
ポジティブリストで何度も出てくる考え方が、 「食品に成分が移るかもしれない」という視点です。 これは危険をあおる話ではなく、リスクを前提にコントロールする発想です。
目に見えて溶けることではなく、 ごく微量の成分が食品側に移る可能性のことを指しています。
- 食品に直接触れるか
- 触れる時間が長いか
- 温度・油分など、影響を受けやすい条件か
- その結果、成分が移る可能性が考えられるか
- 「溶け出す=すぐ危険」と思ってしまう
- 「ゼロじゃない=使えない」と考える
- 条件の違い(時間・温度)を無視してしまう
ポジティブリストは、ゼロにする制度ではなく、管理する制度です。
このパートのまとめ:
プラスチック容器包装が重視されるのは、成分の組み合わせが多く、食品に触れ、成分が移る可能性があるから。 だからこそポジティブリストでは、「何が使えるか」を先に決めて管理するという考え方が採用されています。
容器包装に関わるポジティブリスト実務と判断ポイント

制度の仕組みがわかっても、実際の現場では「これはどう判断すればいいの?」と迷う場面が出てきます。
この章では、証明書・市販品・素材別の注意点など、実務でつまずきやすいポイントを中心に、容器包装とポジティブリストをどう扱えばいいのかを具体的に解説します。
容器包装のポジティブリストは登録制なのか?
実務で一番よく聞く質問がこれです。 「この材料、ポジティブリストに登録しないと使えないんですか?」 結論から言うと、ここが大きな誤解ポイントです。
超重要
- 容器包装のポジティブリストは「登録制」ではありません
- 企業が国に申請して「許可をもらう」制度ではありません
- 使っていい物質があらかじめ決められている仕組みです
よくある「登録が必要」という誤解
「登録が必要」というイメージが広がった背景には、 化審法や医薬品の制度と混同されているケースが多くあります。
- 材料ごとに国へ登録申請が必要
- 製品ごとに番号が付与される
- 登録されていないと即アウト
- 「使っていい物質」が先に決められている
- その範囲で材料設計・製造を行う
- 適合しているかを事業者が確認する
- 個別に申請
- 審査・許可が必要
- 番号・登録証が発行される
- 使用可能な物質が先に決まっている
- その中で設計・製造する
- 適合確認は事業者責任
実際はどんな仕組みで運用されている?
ポジティブリスト制度は、「国が一つひとつ許可する」仕組みではありません。 実務では、事業者同士で情報をつなぐ形で回っています。
- 国が使用可能な物質の範囲を示す
- 材料メーカーが適合する材料を製造
- 容器包装メーカーが適合材料を使って製品化
- 取引先に適合情報を伝える
ポジティブリスト制度では、 「登録証があるから安心」ではなく、 「適合していると説明できるか」が重要になります。
このセクションのまとめ:
容器包装のポジティブリストは登録制ではありません。 あらかじめ決められた範囲の中で材料を使い、 事業者が自ら適合性を確認し、情報をつないでいく――それが実務の基本です。
ポジティブリスト適合証明書はなぜ求められるのか
「適合証明書(適合宣言書)」が求められるのは、ざっくり言うと“言った言わない”を避けるためです。
容器包装のポジティブリストは、合成樹脂について「使っていい物質の範囲」を決めて管理する制度で、取引の現場ではその適合性を説明できる情報が必要になります。
実務あるある
- 法律のイメージは「サプライチェーンで情報を伝える」=説明できる状態にする
- 書式(名前・様式)は固定じゃないことが多い(会社ごとに呼び方が違う)
- 食品製造業者側は“書類を集めること”より“中身をチェックすること”が重要
メーカー・販売側に求められる情報提供
「証明書をください」と言われる背景は、メーカー・販売側に“説明責任”があるからです。
たとえば、合成樹脂製の器具・容器包装については、販売・製造・輸入者が「原材料がポジティブリスト収載物質であること、またはバリアが機能していること」を販売先に説明する義務がある、という整理が示されています。
- 品名・品番・ロットなど(どれの話か迷わない)
- 用途(食品接触の有無、想定食品など)
- ポジティブリスト収載物質で構成される、等の説明
- 例外を使うなら「バリアが機能」などの説明
情報は固定ではありません。資料では、情報伝達の体制整備や、変更時の速やかな伝達が必要という整理も示されています。
- 適合証明書
- 適合宣言書
- 確認書/保証書/規格適合書 など
- 対象品が特定できるか
- 適合性を説明できる情報があるか
- 更新・変更に追随できるか
食品製造業者が確認すべきポイント
食品製造業者の立場だと、「証明書を集める」ことに意識が行きがちです。
でも本当に大事なのは、“自社の使い方に対して適合と言えるか”を確認すること。
ここはチェックの順番を決めるとラクになります。
- 対象材質か?
容器包装PLは、政令で定める材質として「合成樹脂」を対象にしている整理が示されています。 - どの製品の証明書か?
品番・ロット・仕様(厚み、層構成など)が自社の現物と一致しているか。 - “適合”の根拠が書かれているか?
「PL収載物質」または「バリアが機能」など、説明の筋が通っているか。 - 自社の使用条件とズレていないか?
熱い食品/油分が多い/長期保存など、使い方が違うと見え方が変わるので要チェック。 - 更新・変更の連絡ルートがあるか?
情報伝達は“体制”も含めて考える整理が示されています。
「食品製造業者に“証明書の保管義務が法律上あるか”」は、条文や通知の読み込み・自治体運用も関係します。このパートでは、一次情報として「販売・製造・輸入者が販売先へ説明する義務がある」という整理が確認できています。
ただし、“必ず何年保管”のような一律ルールは、ここで断言できる一次情報を提示できません。必要なら、次の段で一次情報(法令・通知の該当箇所)に当たって、記事内で明示するのが安全です。
適合証明書が求められるのは、容器包装のポジティブリストを取引の中で“説明できる状態”にするため。
メーカー・販売側は「PL収載物質/バリア機能」などを根拠に情報を伝える整理が示されており、
食品製造業者側は、書類の有無より自社の使い方に合った適合性になっているかをチェックするのが実務のコツです。
ホームセンターで買った容器包装は使っていい?
現場で本当によく出る質問です。 「急ぎだから」「安いから」と、ホームセンターで買った容器包装を業務に使っていいの? 結論は、“ダメと断定はできないが、そのまま使うのはリスクが高い”。 ここでは、感覚論ではなく実務での考え方を整理します。
実務判断
- 一般向け製品は業務利用を前提にした情報提供がされていないことが多い
- ポジティブリストの適合性を説明できないケースが出やすい
- 「使えるか」より「説明できるか」が判断基準
一般向け製品と業務用途の考え方の違い
一般向けと業務用途の違いは、品質そのものよりも、 「どこまで情報が用意されているか」にあります。
- 家庭での使用を想定
- 原材料や層構成の情報は公開されないことが多い
- 「食品用」表示があっても業務前提ではない
- 業務利用・取引を前提
- ポジティブリスト適合性の説明資料が用意されやすい
- 仕様変更時の情報更新ルートがある
一般向け製品は、「法律説明まで含めて売る」前提ではありません。 そのため、ポジティブリストに関する根拠情報を後から追えないことが多いです。
「今まで問題なかった」「家庭用だから安全そう」 こうした感覚と、業務で求められる説明責任は別物です。
情報が取れない場合のリスク整理
情報が取れない状態で一番困るのは、 トラブルが起きたときに「説明できない」ことです。 ここでは、実務で想定されるリスクを整理します。
「この容器、PL適合ですか?」と聞かれて、 根拠を示せないと、取引や監査で指摘を受けやすくなります。
問題が起きた際、 「なぜこの容器を使ったのか」を説明できないのは大きなリスクです。
材料変更・仕様変更があっても、 追いかける手段がないため、継続利用の判断が難しくなります。
- 業務用途は業務用として販売されている容器包装を選ぶ
- 少量・試作でも情報が取れるルートを確保する
- 「安い・早い」より説明できるを優先
ホームセンターで買った容器包装は、すぐに違法になるわけではありません。 しかし業務では、「適合していると説明できるか」が重要。 情報が取れない製品は、使える・使えない以前にリスクが高いと考えるのが現実的です。
ゴム・樹脂ペレットなど素材別の注意点
容器包装の実務で「意外とつまずく」のが、ゴムや樹脂ペレットといった素材の扱いです。 プラスチック容器ほど目立たないのに、説明が難しく、誤解も多い。 ここでは、なぜ問題になりやすいのかと、混同しがちな制度の切り分け方を整理します。
混乱回避
- ゴムは材料の中身が見えにくく、配合が多い
- 樹脂ペレットは「原料段階」と「製品段階」を分けて考える必要がある
- 化審法とポジティブリストは役割がまったく違う
ゴム製品が容器包装で問題になりやすい理由
ゴムは「プラスチックの仲間」と思われがちですが、 容器包装の世界ではかなり扱いが難しい素材です。
ゴム製品は、ゴム本体+多くの添加材でできています。 同じ形でも、中身の配合はメーカーごとに違うことが普通です。
パッキン・シール・栓など、 食品に直接触れる or すぐ近くで使われることが多い素材です。
ゴムは「プラスチックじゃない」ため、 ポジティブリストと無関係だと誤解されがちです。 しかし食品接触材料としての説明責任は残ります。
- メーカーが詳細配合を開示できない
- 「食品用」と書いてあるが根拠説明が弱い
- 容器本体はOKでもゴム部品だけ説明できない
化審法とポジティブリストを混同しない考え方
樹脂ペレットや原材料の話になると、 「この物質、化審法に登録されてますか?」という質問が出がちです。 ここで大事なのは、制度の目的がまったく違うという点です。
- 化学物質そのものを管理
- 新規物質の届出・評価が中心
- 用途は幅広い
- 食品に触れる用途を管理
- 「使っていい物質」を限定
- 食品安全に特化
「このペレットは化審法OKだから、 ポジティブリストもOKですよね?」 → 答えはNOです。
化審法は「物質として扱っていいか」、 ポジティブリストは「食品に触れて使っていいか」。 見る軸が違うと理解するのが正解です。
- 原材料(ペレット)段階と製品(容器包装)段階を分けて考える
- 化審法OKでもPL適合の説明は別途必要
- ゴム部品は「小さいから後回し」にしない
ゴムや樹脂ペレットは、配合が見えにくく、制度を混同しやすい素材です。 ポイントは、「食品に触れる用途か」と「どの制度で何を管理しているか」を分けて考えること。 ここを整理できれば、無用なトラブルを避けやすくなります。
食品製造業者の立場で最低限押さえる実務対応
ポジティブリストの話になると、 「メーカーが適合していれば、食品製造業者は大丈夫ですよね?」 こう考えたくなりますが、実務ではそれだけでは足りません。 ここでは、食品製造業者として最低限ここだけは押さえておきたい考え方を整理します。
食品製造業者視点
- 基本は「ポジティブリスト適合品を使う」
- でも実務では「自社の使い方で適合と言えるか」を見る必要がある
- 書類は目的を理解して扱うのがポイント
「適合品を使う」以外に意識すべき点
法律の文言だけを見ると、 「適合品を使っていればOK」と読めてしまいます。 しかし現場では、“使い方”まで含めて適合かどうかを考える必要があります。
容器包装は、使い方で見え方が変わることがあります。 熱い食品・油分が多い食品・長期保存など、 自社の条件が想定範囲に入っているかを確認します。
容器本体が適合していても、 内面コート・ラミ・接着層が別扱いになることがあります。 食品に一番近い層を意識するのがコツです。
同じ品番でも、材料や構造が変わることは珍しくありません。 「前にOKだったから今回もOK」と思い込まない体制が重要です。
- メーカーの説明をそのまま受け取るのではなく
- 自社の使用条件に当てはめて考える
- 説明できない点があれば確認・相談する
書類保管は義務か実務対応か
「適合証明書は何年保存しなければいけませんか?」 これも非常によくある質問です。 ここは、法律上の義務と実務上の対応を分けて考えるのが大切です。
- 一律の保存年限が明記されているとは言えない
- 「必ず◯年保管」と断言できる一次情報は不足
- 説明責任を果たすために保管する
- 監査・取引・トラブル対応を見据える
書類保管については、自治体指導・業界ガイドライン・取引条件によって求められるレベルが変わることがあります。 この記事では、「法律で一律に決まっている」と断言できる一次情報が不足しているため、 実務対応としての考え方を示しています。
- 使用中の容器包装ごとに説明資料を1セット持つ
- 仕様変更があったら差し替え・更新
- 「すぐ出せる状態」で保管(紙でもPDFでもOK)
食品製造業者の基本は適合品を使うこと。 そのうえで、自社の使い方に合っているかを確認し、 書類は義務だからではなく、説明できる状態を保つために管理する。 これが、無理のない実務対応です。
ポジティブリストと容器包装を正しく理解するためのまとめ
ここまで読み進めて、「思っていたより複雑だな」と感じた人も多いはずです。 でも大丈夫。ポジティブリストと容器包装は、いくつかの“考え方の軸”を押さえれば整理できます。 最後に、この記事の要点を実務で使える形にまとめます。
- ポジティブリストは登録制ではない(国に申請して許可をもらう制度ではない)
- 中心は「食品に触れる合成樹脂」(容器包装ぜんぶが対象ではない)
- 素材名より「食品に触れる最後の層」を見る
- 適合証明書は“安心の紙”ではなく“説明の材料”
- 食品製造業者は「使い方まで含めて適合か」を考える
- これは容器・包装・器具のどれ?
- 食品に触れる部分はどこ?
- その部分は合成樹脂か?
- 紙・金属でも食品側に樹脂の層はない?
- 説明を求められたとき、根拠を示せる?
- 「ポジティブリスト=全部OK/NGが一瞬で決まる」
- 「登録証があれば安心」
- 「紙・ゴム・金属だから関係ない」
- 「メーカーがOKと言っているから自社は見なくていい」
これらはすべて、制度の一部だけを切り取った理解から生まれます。
ポジティブリストと容器包装は、 「正解を探す制度」ではなく「説明できる状態をつくる制度」です。 完璧な答えを一人で抱え込むより、 情報を集め、整理し、必要なら確認する――それが現場での正解です。
ポジティブリストと容器包装を正しく理解できると、 「これは使える?」「証明書は必要?」といった判断が、 感覚ではなく“筋道”でできるようになります。 このまとめが、日々の実務で迷ったときの戻り先になれば幸いです。


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