2029年8月から、後期高齢者の医療費や保険料に「金融所得」を反映する制度が始まります。
でも、金融所得とは何なのか、なぜ医療費に関係するのか、少し分かりにくいですよね。
特に気になるのは、株式や投資信託で利益を得ている人の負担が増えるのかという点です。
NISAや特定口座も対象になるのか、すべての後期高齢者に影響するのか、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
私も最初は、金融所得があれば一律に医療費が上がるのかと思いました。
しかし、調べてみると、実際には所得や世帯の状況によって違いがあるようです。
この記事では、金融所得の基本から2029年の制度変更、後期高齢者の医療費や保険料への影響まで、初心者にもわかりやすく整理していきます。
- 金融所得の意味と後期高齢者への影響
- 2029年8月から始まる制度変更
- NISA・特定口座の対象範囲
- 医療費・保険料の負担増と今後の課題
金融所得で後期高齢者の医療費はどう変わる?

2029年から、後期高齢者の医療費や保険料に「金融所得」を新たに反映する仕組みが始まります。
ただ、金融所得と聞いても、普段の生活ではあまり使わない言葉ですよね。私も最初は、銀行に預けているお金や株の資産額まで含まれるのかと思いました。
そこで、まずは金融所得の意味を確認し、どのようなお金が関係するのか整理してみます。
金融所得とは簡単にいうとどういう意味?
金融所得とは、株式や投資信託などの金融商品から得られる利益のことです。
例えば、株を持っていて受け取る配当金や、買ったときより高い値段で株を売った場合の利益などが代表例です。
株式を保有している人が企業から受け取る利益の分配
株式や投資信託を売って得た利益
預貯金や債券などから受け取る利息
ここで気になったのが、金融所得と金融資産は同じではないという点です。
つまり、株を100万円分持っていることと、株で100万円の利益を得たことは別の話なんですね。
金融所得には預貯金の利子も含まれますが、今回の後期高齢者医療制度の見直しでは、預貯金の利子やNISA口座の非課税所得、金融資産の残高そのものは新たな反映対象ではありません。主に注目されるのは、確定申告していない上場株式の配当や売却益などです。
厚生労働省の資料を確認すると、これまでは同じような金融所得があっても、確定申告の有無によって医療費の負担割合や保険料に違いが生じる場合がありました。
今回の制度変更は、その違いを小さくすることが目的の一つとされています。
金融所得を反映するというのは、単純に「貯金や株を持っている後期高齢者の医療費を上げる」という意味ではありません。どのような利益を得ているか、そして制度上どの所得が対象になるかを分けて考えることが大切だと感じました。
金融所得が後期高齢者の医療費に反映されるのはいつ?
後期高齢者の医療費に金融所得が反映されるのは、2029年8月からです。
厚生労働省が2026年10月16日の社会保障審議会で示したスケジュールによると、金融機関から所得情報を集める仕組みが先に始まります。
私も最初は、2029年になってから得た利益が対象になると思っていました。しかし、調べてみると少し違いました。
2029年8月から始まる制度ですが、最初に使われるのは2028年分の金融所得です。つまり、制度が始まる前年の利益も関係してくるということですね。
なお、2029年8月になれば、すべての後期高齢者の医療費が一律に上がるわけではありません。金融所得を含めた所得状況によって、負担割合や保険料への影響は異なります。
ここまで確認して、制度の開始日だけでなく、「いつ得た所得が使われるのか」にも注目する必要があると感じました。
金融所得によって医療費の窓口負担は増える?
結論からいうと、金融所得によって後期高齢者の医療費の窓口負担が増える人はいます。ただし、全員の負担が増えるわけではありません。
後期高齢者の窓口負担は、所得に応じて1割・2割・3割に分かれています。今回の変更では、金融所得を加えて判定することで、これまで1割だった人が2割になる可能性があります。
夫:年金収入230万円+金融所得50万円
妻:基礎年金83万円
※厚生労働省の公表資料にある試算例。すべての世帯に当てはまるものではありません。
私が気になったのは、1割から2割になると実際の支払いがどれくらい変わるのか、という点です。
※単純計算の例。高額療養費制度などによる負担上限は考慮していません。
窓口負担割合が2割になっても、医療費が無制限に増えるわけではありません。高額療養費制度による月ごとの自己負担限度額があり、実際の負担額は所得区分や受診状況によって異なります。
ここまで調べてみると、金融所得があるかどうかだけでなく、もともとの所得や世帯の状況によって負担が変わると理解するのが大切そうです。
なお、個々の後期高齢者が実際にいくら負担増になるかは、現在公表されている資料だけでは一律に判断できません。
金融所得はNISAや特定口座も対象になる?
株式や投資信託を運用している人にとって、気になるのが「NISAや特定口座の利益も医療費に影響するのか」という点ではないでしょうか。
厚生労働省の資料を確認すると、NISA口座の非課税所得は対象外ですが、特定口座で得た利益は対象になる場合があります。
| 口座の種類 | 今回の反映対象 |
|---|---|
| NISA口座 | 対象外 |
| 特定口座 源泉徴収あり | 対象となる利益は反映 |
| 特定口座 源泉徴収なし | 申告した所得は従来から反映 |
※後期高齢者医療制度での扱い。特定口座でも、利益の種類や申告状況によって取り扱いが異なります。
私が意外に感じたのは、「源泉徴収あり」の特定口座でも、医療費の判定に関係するようになるという点です。
源泉徴収ありとは、証券会社などが利益から税金を差し引く仕組みのこと。これまでは確定申告をしなければ、原則としてその所得が後期高齢者の医療費や保険料の判定に反映されませんでした。
今回の変更では、対象となる金融所得について、確定申告をしなくても金融機関からの情報を使って把握する仕組みが導入されます。そのため、「確定申告しなければ医療費に影響しない」とは考えられなくなります。
一方、NISAは利益が非課税となる制度なので、今回の見直しでも対象外とされています。NISAで運用しているという理由だけで、窓口負担が増えるわけではありません。
同じ株式投資でも、NISAと特定口座では医療費への影響が異なります。後期高齢者の場合、単に投資をしているかどうかではなく、どの口座で、どのような利益を得ているかを確認することが大切だと感じました。
なお、特定口座で利益が出た場合でも、必ず窓口負担割合が上がるわけではありません。実際の判定は、年金などを含む所得状況によって変わります。
金融所得の反映で後期高齢者の負担は増える?

金融所得が医療費の判定に使われると聞くと、病院で支払うお金だけが変わるように感じますよね。
しかし、今回の制度変更では、後期高齢者が毎年支払う医療保険料にも影響する可能性があります。
そこで、保険料がどのように決まり、金融所得によってどれくらい変わる可能性があるのか、具体的な数字から確認してみました。
金融所得によって後期高齢者の保険料は上がる?
結論からいうと、金融所得が新たに算定対象となることで、後期高齢者の保険料が上がる場合があります。
後期高齢者医療制度の保険料は、基本的に次の2つを組み合わせて計算されます。
今回の見直しで注目したいのは、所得に応じて計算される「所得割額」です。対象となる金融所得が加わると、保険料の計算に使う所得が増えることになります。
※厚生労働省の公表資料にある試算例。確定申告の有無による現行制度での違いを示したもので、2029年度の保険料を予測した数字ではありません。
私が意外に感じたのは、同じ収入でも保険料に年間5万円以上の差が生じる例があることでした。
ただし、金融所得が50万円あれば必ず保険料が51,050円増える、という意味ではありません。
保険料率や均等割額は都道府県ごとの広域連合によって異なり、所得に応じた軽減措置や賦課限度額もあります。そのため、金融所得が増えても、全員の保険料が同じ割合で上がるわけではありません。
ここまで調べてみると、金融所得の反映による負担増を考える際は、利益の金額だけでなく、現在の保険料や所得区分、軽減措置の有無まで確認する必要があると感じました。
なお、個人ごとの2029年度の保険料については、現在公表されている資料だけでは正確な金額までは分かりません。
金融所得がある後期高齢者は全員対象になる?
金融所得がある後期高齢者は、全員が医療費や保険料の負担増になるのでしょうか。
調べてみると、金融所得があるという理由だけで、全員の負担が増えるわけではありません。
大切なのは、金融所得が新たな算定対象に含まれるかどうかと、それによって実際の負担額が変わるかどうかを分けて考えることです。
原則75歳以上が対象です。ただし、一定の障害があり認定を受けた65~74歳の人も加入できます。
投資をしていても、制度上の算定対象となる所得がなければ、今回の追加反映による影響はありません。
所得区分の境目を超えるか、保険料の軽減や上限に該当するかなどによって、実際の影響は異なります。
私が気になったのは、金融所得が少額でも負担が増えるのか、という点でした。
例えば、すでに保険料が上限に達している人は、算定対象の所得が増えても保険料が変わらない場合があります。また、窓口負担の判定区分が変わらない人もいます。
「金融所得が年間○万円以上なら必ず負担増」という単純な基準ではありません。現在公表されている資料だけでは、すべての所得・世帯状況に当てはまる一律の負担増額までは分かりません。
ここまで整理すると、制度の対象者と、実際に負担が増える人は必ずしも同じではないと考えると分かりやすそうです。
後期高齢者の金融所得が反映されても、影響の大きさは一人ひとりの所得状況や保険料の算定条件によって変わります。
金融所得を医療費に反映するのはなぜ?
そもそも、なぜ政府は後期高齢者の医療費に金融所得を反映させようとしているのでしょうか。
厚生労働省の資料を調べると、中心にあるのは「負担能力に応じた公平な医療保険制度にすること」という考え方でした。
特に問題視されているのが、確定申告の方法によって負担に差が生じる仕組みです。
所得の申告方法によって医療保険の負担に差が生じるため、金融所得をより公平に反映する仕組みが必要とされています。
年齢だけでなく、所得などの負担能力も考慮し、医療保険制度を将来にわたって維持することが目指されています。
私が気になったのは、なぜ最初からすべての世代を対象にせず、後期高齢者医療制度から始めるのかという点でした。
厚生労働省の審議会では、国民健康保険や会社員などが加入する医療保険との制度上の違いも踏まえ、まず後期高齢者医療制度で進める方針が示されています。
後期高齢者医療制度は、原則75歳以上を対象とする共通の仕組みです。一方、国民健康保険や会社員の健康保険は、保険料の計算方法などが異なります。こうした制度間の違いやシステム整備の課題も、導入順序を考える理由になっています。
ただし、負担の公平性を高めることと、高齢者の生活を守ることは、どちらも大切な課題です。
実際に審議会でも、年金を中心に暮らす人や医療を多く必要とする人への影響を慎重に考えるべきだという意見が出ています。
今回の見直しは、単に高齢者の負担を増やすためではなく、負担の公平性を高めるという目的があります。ただ、公平な制度を目指すことで、医療を必要とする人の生活が苦しくならないかも重要だと感じました。
つまり、「誰がどれだけ負担するのが公平なのか」という問題が、今回の金融所得の反映を考えるうえで大切なポイントになりそうです。
金融所得の反映で後期高齢者にどんな課題が考えられる?
ここまで、金融所得が後期高齢者の医療費や保険料に与える影響を調べてきました。
今回の制度変更は、所得に応じた負担の公平性を高めることが目的ですが、公平な制度にすることと、高齢者が安心して医療を受けられることを両立できるかが大きな課題だと感じました。
負担が増えることで、必要な通院や治療を控える人が出ないか。特に年金を中心に生活する人への配慮が重要です。
後期高齢者だけでなく、現役世代の金融所得をどう扱うのか。医療保険制度全体の公平性も問われます。
金融機関から集める情報を正確かつ安全に管理できるか。自治体などの事務負担やシステム整備も課題です。
厚生労働省の審議会でも、低所得者や医療を多く必要とする人への影響、制度間の公平性、実務上の負担などについて意見が出ています。
制度の開始時期は示されていますが、実施後にどの程度の人の負担が増え、生活や受診行動にどんな影響が出るのかは、現時点では分かりません。制度開始後の検証も重要になりそうです。
私は、同じような所得がある人には公平な負担を求めるという考え方には、一定の合理性があると感じました。
一方で、後期高齢者にとって医療は生活に欠かせないものです。制度上の公平性だけでなく、必要な医療を受け続けられるかという視点も忘れてはいけないと思います。
金融所得の反映は、単なる保険料の見直しではなく、これからの日本で高齢者と現役世代が医療費をどう支え合うのかを考えるきっかけにもなりそうです。
この記事は、厚生労働省が公表している資料などを参考に作成しました。制度の詳しい内容は、以下の公式資料から確認できます。
※制度の詳細や運用は今後変更される可能性があります。最新の情報については、厚生労働省の公式発表もあわせてご確認ください。


