【初心者OK】エビデンスレベルとは?簡単に意味・見方・高い順を整理してみた
「エビデンスレベルとは何だろう?」
「レベルが高いほど絶対に信用できるの?」
と疑問に感じたことはありませんか。
医療や健康に関する情報を調べていると、エビデンスレベルA・B・C、高い・低いといった表現を目にすることがあります。
しかし、評価方法は一つではないため、記号や順位だけを見て判断すると意味を取り違えてしまうことも。
専門的な言葉が多く、
「なんだか難しそう……」
と感じる人もいるでしょう。
そこでこの記事では、エビデンスレベルとは何かを簡単に理解できるよう、基本的な意味から決まり方、高い順の考え方、見分け方、注意点までやさしく整理します。
研究の知識がない初心者でも読み進められる内容なので、一緒に基本から確認していきましょう。
- エビデンスレベルは根拠の確かさ
- 評価基準によって表し方が異なる
- 研究方法で高い順の目安がわかる
- レベルだけで正誤は決められない
- 推奨度とは別に考える必要がある
エビデンスレベルとは?簡単に意味や決まり方を理解しよう

「エビデンスレベルとは、研究や情報による根拠が「どのくらい確かなものなのか」を考えるための目安です。ただし、すべての分野で同じ基準が使われているわけではありません。
まずはエビデンスレベルの基本的な意味から、どのような考え方で決まるのかまで簡単に見ていきましょう。
エビデンスレベルとは何ですか?
エビデンスレベルとは何ですか?と聞かれたら、まずは「研究などから得られた根拠が、どの程度確かなものなのかを評価するための考え方」と理解しておけばよいでしょう。
医療分野で使われる「エビデンス」は、試験や調査などの研究結果から導かれた科学的な「根拠」や「裏付け」を意味します。ただし、研究であれば何でも同じくらい確かというわけではありません。
「その根拠はどのくらい確か?」まで考えるもの
たとえば、「この方法には効果があります」という情報が2つあったとしても、1人の経験談から出た話と、多くの人を対象に適切な方法で調べた研究では、同じようには扱えません。
| 見るポイント | 簡単な考え方 |
|---|---|
| エビデンス | 判断のもとになる科学的な根拠・裏付け |
| エビデンスレベル | その根拠をどの程度確かなものとして扱えるかを見る考え方 |
ここは注意
「エビデンスレベル」という言葉に、すべての分野で共通する一つだけの分類表があるわけではありません。評価方法やガイドラインによって、A・B・C・Dや数字など、表し方や意味が異なる場合があります。
エビデンスの強さや確かさを見る考え方
エビデンスレベルを理解するときに大切なのは、単純に「研究がある=正しい」と考えないことです。
研究には、結果が実際より良く見えたり悪く見えたりする「偏り(バイアス)」が入り込む可能性があります。また、研究で調べた人と実際に知りたい人の年齢や条件が違うなど、研究結果をそのまま当てはめにくいケースもあります。
日本の診療ガイドライン作成を支援するMindsでも、現在は個々の論文を単純に「レベル○」と分類することだけではなく、研究デザインやバイアスの可能性などを評価し、複数の研究をまとめた「エビデンス総体」の確実性を考える方法が示されています。
覚え方
「レベル」という言葉だけを見ると階段のような単純な順位を想像しがちですが、実際には研究方法だけで機械的に決めるのではなく、研究の質や偏りなども確認すると覚えておくとよいでしょう。
エビデンスそのものとの違い
「エビデンス」と「エビデンスレベル」は似ていますが、意味は同じではありません。
エビデンスは根拠そのものを指すのに対して、エビデンスレベルは、その根拠を評価するときに使われる考え方です。
たとえば、ある健康法について「効果があった」という報告があれば、それは判断材料の一つになります。しかし、その報告だけを見て「効果が確実に証明された」とまでは言えません。
どんな人を対象に、どのような方法で調べたのか。ほかの研究でも似た結果が出ているのか。結果に偏りが入り込む可能性はないのか――。こうした点まで確かめていくことで、根拠をより慎重に評価できます。
エビデンスレベルとは簡単にいえば、「根拠がある・ない」で終わらず、その根拠をどの程度確かなものとして考えられるかを見るための考え方です。なお、具体的なランクや評価方法は一つではないため、「Aだから必ず正しい」といった見方はしないことが大切です。
「エビデンスレベル」の前に、そもそもエビデンスとは何を意味する言葉なのかを確認したい方は、 エビデンスとは?わかりやすく意味や使い方を解説 も参考にしてください。根拠との違いや使い方まで初心者向けに整理しています。
エビデンスレベルを日本語で何といいますか?
「エビデンスレベル」という言葉を日本語だけで理解しようとすると、少し分かりにくいかもしれません。そこで、まず言葉を2つに分けて考えてみましょう。
そのため、エビデンスレベルとは簡単に日本語で表すなら、「根拠の確かさの程度」「科学的な根拠の確かさ」などと考えるとイメージしやすくなります。
ただし、「エビデンスレベル=日本語では必ず○○と訳す」という一つの決まった訳語がある、と考えるのは避けたほうがよいでしょう。資料によっては「エビデンスの確実性」「エビデンスの質」など、評価する内容に合わせて異なる表現が使われます。
言葉より意味をつかもう
初心者の場合は、無理に一つの日本語訳を暗記するよりも、「研究などから得られた根拠を、どの程度確かなものとして考えられるか」という意味を押さえておくほうが理解しやすいでしょう。
「根拠の確かさ」などと考えるとわかりやすい
エビデンスレベルを簡単に理解するなら、「根拠の確かさを考えるもの」と置き換えてみるのがおすすめです。
ここで大切なのは、「根拠の強さ」と「情報の量」を混同しないことです。情報がたくさん見つかったからといって、それだけで確かな根拠になるわけではありません。
→ 参考にはなりますが、その人だけの経験かもしれません。
→ 個人の経験だけでは分からないことを、より客観的に検討できます。
つまり、「根拠があります」と書かれているかどうかだけではなく、「その根拠は、どのように確かめられたものなのか」まで見ることが重要になります。
| 表現 | 初心者向けのイメージ |
|---|---|
| 根拠の確かさ | その情報をどの程度確かなものとして考えられるか |
| エビデンスの確実性 | 研究結果について、どの程度確信を持てるか |
| エビデンスの質 | 根拠となる研究を評価するときに使われる表現の一つ |
「エビデンスレベル」を日本語に一語で置き換えようとするより、「根拠がどれくらい確かなのかを考えるためのもの」と理解するのが簡単です。具体的な名称や評価方法は資料によって異なるため、実際にA・B・Cなどの表示を見るときは、その資料がどの基準を使っているのかも確認しましょう。
エビデンスレベルはどう決まる?
エビデンスレベルは、単純に「研究に参加した人数が多いから高い」「有名な研究だから高い」と決まるわけではありません。
医療分野の代表的な考え方では、まずどのような方法で研究したのかを確認し、そのうえで結果に偏りが入り込む可能性や、複数の研究で結果がそろっているかなどを評価していきます。
現在のMindsの考え方でも、個々の論文を単純なエビデンスレベルだけで見るのではなく、研究デザインやバイアスリスクなどを評価し、複数の研究をまとめた「エビデンス総体」も評価することが勧められています。
つまり、エビデンスレベルとは簡単にいえば、研究の「肩書き」だけを見て決めるものではありません。研究の方法と中身の両方をチェックして、結果をどこまで確かなものとして考えられるかを判断するのがポイントです。
ここが大事
具体的な決め方は、採用する評価方法やガイドラインによって異なります。そのため、「この条件なら必ずレベルA」のように、すべての資料に共通するルールとして覚えないようにしましょう。
どのような方法で調べた研究なのかを見る
エビデンスを評価するとき、最初の手がかりになるのが「どのような方法で調べた研究なのか」という点です。これを「研究デザイン」と呼びます。
たとえば、治療の効果を調べたい場合、「治療を受けた人だけを見る」のと、「治療を受けるグループと受けないグループを適切に分けて比較する」のでは、分かることが違います。
→ 実際に何が起きているのかを知る大切な研究ですが、結果に別の要因が関係している可能性も考える必要があります。
→ 条件の違いによる影響をできるだけ減らし、治療などによる差を検討しやすくなります。
このため、治療効果などを調べる場面では、ランダム化比較試験(RCT)のように比較するグループを偶然性を利用して振り分ける研究が重要な役割を持ちます。
ただし、「RCTなら何でも最高」「観察研究なら役に立たない」という意味ではありません。知りたい内容によって適した研究方法は異なりますし、研究デザインが優れていても、実際の進め方に問題があれば結果の確かさは下がる可能性があります。
初心者向けポイント
研究の名前だけで順位を暗記するより、「知りたいことに合った方法で、できるだけ公平に比較・調査できているか」を見ると、エビデンスレベルの考え方を理解しやすくなります。
研究の質や偏りの可能性も確認する
研究方法を確認したら、次は「その研究がきちんと行われているか」を見ます。ここで重要になるのが「バイアスリスク」です。
バイアスというと難しく聞こえますが、簡単にいえば研究結果が本来の状態から一定の方向へずれてしまう原因のことです。
| チェックする例 | なぜ確認する? |
|---|---|
| 参加者の選び方 | 特定の特徴を持つ人に偏っていないかを見る |
| 比較の方法 | グループ間の条件に大きな違いがないかを見る |
| 結果の測り方 | 評価の仕方によって結果が偏っていないかを見る |
| 途中で抜けた人 | 脱落した人の違いが結果に影響していないかを見る |
そのため、研究デザインだけを見てエビデンスの確かさを決めることはできません。Mindsでも、個々の研究について研究デザインだけでなくバイアスリスクなどを評価することが勧められています。
「研究の種類」だけで判断しない
一見すると信頼性が高そうな研究方法でも、参加者の選び方や結果の測定などに大きな問題があれば、確かさへの評価が下がることがあります。「どんな研究か」と「どれだけ適切に行われたか」は別々に確認することが大切です。
結果が一貫しているかも判断材料になる
もう一つ大切なのが、複数の研究で似たような結果が得られているかという視点です。
たとえば、同じ治療法を調べた5つの研究があり、ほとんどで似た傾向が確認されていれば、結果について考えやすくなります。一方で、「ある研究では大きな効果」「別の研究ではほとんど効果なし」のように結果が大きく食い違っている場合は、なぜ違うのかを慎重に検討する必要があります。
こうした研究間の結果のばらつきは、エビデンス評価では「非一貫性」という言葉で扱われます。Mindsの評価方法でも、バイアスリスクだけでなく、非一貫性、非直接性、不精確さなどがエビデンス総体を評価する重要な項目になっています。
現在の代表的な評価方法では、①結果が偏っていないか、②研究同士の結果が食い違っていないか、③知りたい対象に直接当てはまるか、④結果の幅が大きすぎないか、⑤都合のよい研究だけ公表されていないかなどを総合的に確認します。
つまり、エビデンスレベルは「研究方法を見て終わり」ではありません。研究の方法 → 研究そのものの質 → 複数研究をまとめたときの確かさと段階的に見ていくことで、「この根拠をどこまで信頼してよいのか」をより丁寧に判断できるようになります。
エビデンスレベルとは簡単に、研究の種類だけで自動的に決まる順位ではなく、研究の質や偏り、複数の結果の一貫性なども確認しながら判断していくものと理解するとよいでしょう。どの項目をどう評価するかは採用する評価体系によって異なるため、実際のガイドラインを見るときは、その資料で使われている基準も一緒に確認することが大切です。
エビデンスレベルはなぜ必要なの?
エビデンスレベルが必要とされる大きな理由は、「研究結果がある」という事実だけでは、その情報をどこまで確かなものとして扱ってよいのか分からないからです。
インターネットやニュースを見ると、「研究で分かった」「科学的に確認された」といった表現を目にすることがあります。しかし、研究にはさまざまな方法があり、分かることにも限界があります。
そこで役立つのが、エビデンスの確かさを評価する考え方です。エビデンスレベルとは簡単に、研究結果をすべて同じ重さで受け取らず、「この情報には、どのくらい確信を持てるのだろう?」と考えるための手がかりと捉えることができます。
これは、研究を疑って何も信じないための仕組みではありません。むしろ、分かっていることと、まだはっきりしないことを分けて考えるために役立ちます。
ポイント
「エビデンスがある」という言葉だけで判断するのではなく、そのエビデンスからどこまで強く結論を出せるのかを考える。そのためにエビデンスレベルやエビデンスの確実性という考え方が重要になります。
すべての研究結果が同じ確かさとは限らない
研究結果を読むときに覚えておきたいのが、同じテーマを調べた研究でも、結論の確かさが同じとは限らないということです。
たとえば、ある食べ物をよく食べる人ほど病気が少なかったという研究があったとします。この結果だけを見ると、「その食べ物が病気を防いだ」と考えたくなるかもしれません。
しかし実際には、その食べ物をよく食べる人は運動習慣があったり、喫煙する人が少なかったりするかもしれません。すると、本当に食べ物による違いなのか、それ以外の要因が関係しているのかを分けて考える必要が出てきます。
さらに、研究の対象者が少なかったり、結果の幅が大きかったりすると、「本当の効果はこのあたり」と自信を持って絞り込むことが難しくなる場合もあります。
つまり、研究結果は「ある・ない」の二択ではありません。研究によって「かなり確信を持てる」「まだ不確かな部分が残る」といった違いがあるため、その違いを整理して考える必要があります。
こんな読み方には注意
「研究で効果が確認された」という一文だけでは、その結論をどの程度確かなものとして考えられるかまでは分かりません。研究結果が存在することと、結論への確信が高いことは分けて考えるのがポイントです。
情報をどこまで信頼できるか判断しやすくなる
エビデンスレベルの考え方を知っていると、研究や健康情報を見たときに、「書いてあるから信じる」「難しい研究だから正しい」という判断から一歩進むことができます。
大切なのは、情報を「信用する・信用しない」とすぐに二分することではありません。現時点では、どの程度まで確かなことが分かっているのかという段階で考えることです。
ただし、ここでも注意があります。エビデンスの確実性が高いことと、「誰にでもその方法をおすすめできる」ことは同じではありません。
医療のガイドラインなどで何かを「推奨するか」を決める場合には、エビデンスだけでなく、期待できる効果と害のバランス、患者さんの価値観、必要な費用や資源など、ほかの要素も考慮されます。
| 考えること | 簡単な意味 |
|---|---|
| エビデンスの確実性 | 研究結果にどの程度確信を持てるか |
| 効果と害 | メリットだけでなくデメリットも含めて考える |
| 実際の判断 | エビデンス以外の条件も合わせて決める |
エビデンスレベルとは簡単に、研究結果を「全部同じ」と扱わず、その情報についてどこまで確信を持てるのかを考えるための手がかりです。「研究で分かった」という言葉だけに振り回されず、分かっている範囲と、まだ不確かな範囲を分けて考えるために役立ちます。
エビデンスレベルは分野や基準によって異なる
エビデンスレベルを調べていると、「A・B・C」「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」「1・2・3」など、いろいろな表記が出てきて戸惑うことがあります。
これは、どれか一つが間違っているからではありません。エビデンスを評価する仕組みには複数の方法があり、ガイドラインや評価体系によって段階の数や記号、それぞれが表す意味が異なるためです。
さらに注意したいのが、同じ「A・B・C」という文字を使っていても、「エビデンスの確実性」を示している場合と、「推奨の強さ」など別のものを示している場合があることです。
そのため、エビデンスレベルとは簡単に「Aが一番上」「数字が小さいほど高い」などと暗記するのではなく、「いま見ている資料は、どの評価基準を使っているのか?」を最初に確認することが大切です。
先に結論
「エビデンスレベルCとは?」「最も低いレベルは?」といった疑問には、評価基準を特定しないまま一つの答えを出すことはできません。記号だけを見るのではなく、その資料に掲載されている評価基準や凡例まで確認しましょう。
A・B・Cなどで表す方法
エビデンスレベルをアルファベットで示す評価方法では、A・B・Cなどを使って段階を表すことがあります。
ただし、ここで「A=高い、B=普通、C=低い」とすべての資料に当てはめるのは危険です。A・B・Cが何を意味するのかは、その評価体系で決められています。
特に医療情報では、「エビデンスの確実性」と「推奨の強さ」を区別することが重要です。
たとえば、ある治療について研究結果がかなり確かだったとしても、副作用や患者さんの希望、費用などを考慮すると、必ずしも「強くおすすめする」という結論になるとは限りません。逆に、確実性が十分高くなくても、状況によって一定の推奨が検討されることもあります。
要注意ポイント
ネット上で「エビデンスレベルC=○○」という説明を見つけても、別の評価基準のCを説明している可能性があります。元となったガイドラインや評価表を確認せず、Cという文字だけで意味を判断しないことが大切です。
数字や段階で表す方法
エビデンスレベルは、アルファベットだけでなく、数字やローマ数字、言葉による段階で表されることもあります。
昔から使われてきた研究デザイン中心の分類では、システマティックレビュー、ランダム化比較試験、コホート研究、症例対照研究、症例報告、専門家の意見などを階層化して示す方法があります。
| 表し方の例 | 見かける表示 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| 数字 | 1・2・3など | 数字の大小だけでは意味を判断しない |
| ローマ数字 | Ⅰ・Ⅱ・Ⅲなど | 段階数や定義は分類によって異なる |
| 言葉 | 高・中・低など | 何について「高い」のかを確認する |
ここでも、「レベル1なら必ず最高」「レベル5なら必ず最低」という共通ルールがあるわけではありません。数字はあくまで、その分類体系の中で段階を区別するための記号として見る必要があります。
また、現在の医療ガイドラインでは、研究デザインを単純に階段状に並べるだけではなく、研究の弱点などを加味してエビデンス全体の確実性を評価する考え方も広く使われています。
覚え方
数字やローマ数字を見たら、まず「数字がいくつか」より「この数字は何を表しているのか」を見るのがポイントです。ランキングだけを切り取って覚えるより、元の評価基準とセットで確認しましょう。
共通する一つの分類があるわけではない
ここまでの内容で最も大切なのは、エビデンスレベルには、どこでも同じように使える「世界共通の一枚のランキング表」があるわけではないという点です。
研究デザインを階層化する方法もあれば、研究をまとめて「確実性が高い・中程度・低い」といった形で評価する方法もあります。さらに、学会やガイドラインによって独自の基準が採用されていることもあります。
まず評価基準の出どころを確認する
研究の種類、エビデンスの確実性、推奨などを区別する
A・B・Cや数字が具体的に何を意味するのか確認する
この3点を確認すれば、「別のサイトではCなのに、こちらではレベル3になっている」といった違いにも慌てにくくなります。表記が違うだけで、必ずしも内容が矛盾しているとは限らないからです。
「エビデンスレベル 高い順」「エビデンスレベルC」などを調べる場合、検索結果に表示された答えだけを見るのではなく、どの評価体系について説明しているページなのかまで確認しましょう。別の基準を混ぜると、順位やCの意味を取り違えてしまう可能性があります。
エビデンスレベルとは簡単に理解するなら、「根拠の確かさなどを一定の基準で整理して考えるもの。ただし、その基準は一つではない」と覚えておくのがおすすめです。A・B・Cや数字だけで高い・低いを決めつけず、「どの基準で評価されたものか」までセットで見ることが、エビデンスレベルを正しく読み取るコツです。
エビデンスレベルとは?簡単に高い順や見方を整理

エビデンスレベルを理解するうえで気になるのが、「どの研究が高いの?」「レベルCは低いの?」といった具体的な見方です。
ここでは、一般的な研究方法の違いを参考にしながら、高い順の考え方や見分け方、判断するときの注意点まで初心者向けに簡単に整理していきます。
エビデンスレベルが高い順に並べるとどうなる?
エビデンスレベルが高い順を知りたい場合、「どのような方法で研究したのか」に注目すると全体像をつかみやすくなります。
医療分野などで使われてきた研究デザインの階層では、おおまかに「複数の研究を体系的にまとめる研究」→「条件を整えて比較する研究」→「人の状態や経過を観察する研究」→「個別の症例を報告する研究」→「専門家の意見」という流れで説明されることがあります。
ただし、この図はあくまで「研究デザインを理解するための目安」です。システマティックレビューなら必ず質が高い、観察研究なら必ず信頼性が低い、という意味ではありません。
また、何を知りたいかによって適した研究方法も変わります。たとえば、まれな副作用や長期間の影響などは、ランダム化比較試験だけでは十分に分からず、観察研究が重要な情報源になることがあります。
ランキング表だけで判断しない
「上にある研究=正しい」「下にある研究=間違い」と考えるのは適切ではありません。研究デザインの位置と、その研究が実際にどれだけ適切に行われたかは別の問題です。
複数の研究をまとめて検討した研究
研究デザインの階層で上位に置かれることが多いのが、システマティックレビュー(系統的レビュー)です。
システマティックレビューとは、ある疑問について関係する研究を一定のルールで探し、選び、研究の質などを評価しながら、結果をまとめて検討する方法です。
なお、「システマティックレビュー」と「メタアナリシス」は同じ意味ではありません。メタアナリシスは、複数の研究結果を統計的な方法で統合する分析手法を指します。システマティックレビューの中でメタアナリシスが行われる場合もあれば、条件によっては行われない場合もあります。
注意
元になった研究の質が低かったり、研究の集め方に問題があったりすれば、レビューだから自動的に信頼性が高くなるわけではありません。「複数研究をまとめた=絶対に最高」ではない点も覚えておきましょう。
条件を分けて比較する研究
次に知っておきたいのが、ランダム化比較試験(RCT)です。治療や予防方法などの効果を確かめる研究で、重要な研究デザインとして使われています。
たとえば新しい治療法を調べる場合、参加者を「新しい治療を受けるグループ」と「比較するグループ」へランダム(無作為)に割り付け、その後の結果を比較します。
調べたい治療など
比較する治療など
ランダムに分けることで、年齢や健康状態など、結果に影響する可能性がある条件をグループ間でできるだけ公平にし、「治療の違いによる影響なのか」を調べやすくするのが大きな特徴です。
一方で、RCTにも研究期間、参加人数、途中で研究から離れた人への対応など、確認すべき点があります。RCTという名前だけで研究の質まで保証されるわけではありません。
人の状態や経過を観察する研究
研究者が治療などをランダムに割り当てるのではなく、実際の生活や診療の中で起きていることを観察して調べる研究もあります。代表的なのが「コホート研究」や「症例対照研究」です。
| 研究の例 | 簡単なイメージ |
|---|---|
| コホート研究 | 特徴の異なる集団などを追い、その後どうなったかを見る |
| 症例対照研究 | 病気になった人となっていない人などを比べ、過去の要因を調べる |
観察研究では、治療を受けたかどうか以外の違いが結果に影響する可能性があるため、原因と結果の関係を考えるときには注意が必要です。
その一方で、長い年月をかけて起こる病気、生活習慣との関係、まれな有害事象など、RCTだけでは調べにくい問題を研究できるという大切な役割があります。
低い=不要ではない
研究デザインの階層でRCTより下に置かれることがあっても、観察研究に価値がないという意味ではありません。知りたい疑問に合った研究方法かどうかを見ることが重要です。
少数の事例を詳しく調べた報告
一人または少数の患者さんについて、症状や治療、その後の経過などを詳しくまとめたものが「症例報告」や「症例集積」です。
大勢を比較する研究とは違い、症例報告だけで「この治療には効果がある」と一般化することは難しくなります。しかし、だからといって意味がないわけではありません。
症例報告をきっかけに「これはほかの人にも起きるのだろうか?」という新しい疑問が生まれ、その後の大きな研究につながることもあります。
つまり症例報告は、強い因果関係を証明することよりも、これまで知られていなかった問題に気づくための手がかりとして重要な役割を持っています。
専門家の経験や意見
研究デザインを階層化した古典的な考え方では、専門家の経験や意見が比較的下の段階に置かれることがあります。
これは、「専門家の話は信用できない」という意味ではありません。専門家は長年の診療経験や専門知識を持っていますが、個人の経験だけでは、偶然の出来事や思い込みなどの影響を完全に取り除くことが難しいためです。
専門知識や経験に基づく判断
一定の方法で集め、検証された研究結果
また、十分な研究がまだ存在しない新しい病気や非常にまれなケースでは、専門家の知識や経験が重要な判断材料になることもあります。
エビデンスレベルとは簡単に研究デザインから見ると、「複数の研究を体系的に検討する」→「条件を整えて比較する」→「実際の経過を観察する」→「個別の事例を見る」→「経験や意見を参考にする」という大きな流れをイメージできます。ただし、これは絶対的な順位表ではありません。最終的には研究の質や、知りたい疑問に適した研究なのかまで確認することが大切です。
エビデンスレベルで最も低いのは?
エビデンスレベルについて調べると、「一番低いエビデンスは何?」という疑問も出てきます。
研究デザインを階層化した一般的な図では、専門家の意見や経験に基づく見解などが低い位置に置かれることがあります。また、分類によっては症例報告・症例集積なども比較的低い位置に分類されます。
ただし、ここで注意したいのは、「エビデンスレベルで最も低いもの=専門家の意見」とすべての評価方法に共通する答えとして断定することはできないという点です。
つまり、「最も低いのは?」という質問に正確に答えるためには、どのエビデンス評価体系について聞いているのかを確認する必要があります。
低い=間違い、ではありません
エビデンスレベルが低いとされる情報は、「内容がウソ」という意味ではなく、そこから強い結論を出すには不確かな部分が多いと考えるのがポイントです。
専門家の意見などが低く位置づけられる場合がある
専門家は、その分野について多くの知識や経験を持っています。それなのに、なぜ研究デザインの階層では専門家の意見が低い位置に置かれることがあるのでしょうか。
理由を理解するポイントは、専門家の能力ではなく、「その結論がどのような方法で確かめられたのか」にあります。
たとえば、「この治療をした患者さんが良くなった」という経験があっても、治療をしなくても自然に良くなった可能性や、ほかの治療・生活環境などが影響した可能性を完全には取り除けません。
そのため、治療の効果などを確かめる場合には、個人の経験だけに頼るより、あらかじめ決めた方法でデータを集め、比較・検証した研究結果のほうが、より強い根拠を得やすいと考えられます。
専門家は必要ないという意味ではない
研究結果だけでは判断できない状況や、研究そのものがほとんどない分野では、専門家の知識や経験が重要になることがあります。「専門家だから低い」のではなく、「意見だけでは不確実性を十分に減らしにくい」と理解すると分かりやすいでしょう。
評価方法によって最も低い段階は異なる
もう一つ押さえておきたいのが、「最も低い」という表現自体が、評価方法によって意味を変えることです。
たとえば、研究デザインを分類する仕組みなら、「どの種類の研究が階層の一番下にあるか」という話になります。一方、エビデンスの確実性を段階的に評価する仕組みなら、「研究の種類」ではなく「結果についてどの程度確信を持てるか」の最も低い段階を指します。
| 何を分類する? | 「低い」の意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 研究デザイン | 階層の下位に位置する研究・情報 | どの研究分類を採用しているか |
| エビデンスの確実性 | 結果への確信が最も小さい段階 | 確実性をどう評価しているか |
| 独自の評価基準 | その基準で定められた最下位 | 凡例や評価基準の説明を読む |
代表的なGRADEの考え方では、エビデンスの確実性を「高」「中」「低」「非常に低」という4段階で評価します。この場合の最も低い段階は「非常に低」ですが、これは「専門家の意見」という研究の種類を表しているわけではありません。
「非常に低」という評価は、効果の推定値について確信が非常に限られていることを示すものです。このように、同じ「最も低いエビデンス」という話でも、何を評価しているかによって答えが変わります。
あるページには「専門家の意見」、別のページには「非常に低」と書かれていても、必ずしもどちらかが間違っているとは限りません。前者は研究デザインの階層、後者はエビデンスの確実性について説明している可能性があります。
エビデンスレベルとは簡単に一つのランキングだけで説明できるものではありません。研究デザインの一般的な階層では専門家の意見などが低く位置づけられることがありますが、すべての評価方法に共通する「最も低いエビデンス」が一つに決まっているわけではありません。「何が最下位か」を知りたいときほど、どの評価基準を使っているのか確認することが大切です。
エビデンスレベルCとはどういう意味ですか?
「エビデンスレベルC」と書かれていると、A・B・Cの順番から「Cならかなり低いのでは?」「信用してはいけない情報なの?」と思うかもしれません。
しかし、エビデンスレベルCとは何を意味するのかについて、「C=必ず○○」と一つの意味で答えることはできません。これまで見てきたように、エビデンスの評価基準は一つではなく、同じCでも資料によって定義が違うからです。
さらに、「C」という文字がエビデンスの確かさを示しているとは限らない点にも注意が必要です。ガイドラインによっては、エビデンスの分類と推奨度の分類に、それぞれアルファベットなどを使用している場合があります。
質問への答え
エビデンスレベルCとは簡単に「低いレベル」と決めつけるのではなく、「その評価基準の中でCと定義された段階」と考えるのが正確です。具体的な意味を知るには、元の資料にある評価表や注釈を確認する必要があります。
Cの意味は評価基準によって異なる
では、なぜ「C」の意味が一つに決まらないのでしょうか。理由は、アルファベットそのものに世界共通の意味が付けられているわけではないからです。
A・B・Cなどは、評価結果を読者に分かりやすく伝えるための「記号」として使われます。その記号にどのような意味を持たせるかは、採用している評価基準によって決められます。
この違いを知らずに、別々のガイドラインに出てくる「C」を横並びで比較すると、意味を取り違える可能性があります。
また、現在よく知られているGRADEでは、エビデンスの確実性を「高・中・低・非常に低」の4段階で示すのが基本です。つまり、GRADEについて説明するときに、単純に「エビデンスレベルC」と置き換えることはできません。
検索すると「C=○○」と一文で説明されているページが見つかることがあります。しかし、それがどの学会・ガイドライン・評価体系のCなのかが分からなければ、別の資料にそのまま当てはめることはできません。
Cを見たら3点確認
① 何を評価しているCなのか / ② どの評価基準を使っているのか / ③ その資料ではCをどう定義しているのか
Cだから信用できないとは限らない
もう一つ気をつけたいのが、「C=信用できない」「Cの情報は使えない」と考えてしまうことです。
仮に、ある評価体系でCが比較的低い段階に設定されていたとしても、それは一般に「その結論には一定の不確かさが残っている」ことを示すものであり、「その内容が間違っている」と証明されたことを意味するわけではありません。
たとえば、新しい治療法や患者数が非常に少ない病気では、そもそも大規模な研究を行うことが難しい場合があります。そのような分野では、限られた研究結果でも重要な判断材料になることがあります。
反対に、エビデンスの確実性が高いからといって、その結果がすべての人に同じように当てはまるとは限りません。研究対象となった人と自分の年齢や健康状態などが違えば、結果の受け取り方を考える必要があります。
| 見方 | どう考える? |
|---|---|
| Cと表示されている | まず、その評価体系でCが何を意味するか確認する |
| 比較的低い評価だった | 結論にどのような不確かさが残っているのかを見る |
| 判断に利用したい | 評価だけでなく対象者や研究内容も合わせて確認する |
特に医療情報では
エビデンスの評価は、個人が治療を始めたり中止したりするための単純な点数表ではありません。実際の医療では、期待できる効果や害、本人の状態や希望なども含めて判断されます。
エビデンスレベルCとは簡単に「信用できない根拠」や「一律に低いエビデンス」を意味する言葉ではありません。Cの意味は評価基準によって異なるため、まず元の資料で定義を確認することが必要です。そのうえで、Cが比較的低い評価だった場合も、「間違い」と切り捨てるのではなく、どの程度の不確かさが残っているのかを見ることが大切です。
エビデンスレベルの見分け方は?
エビデンスレベルの考え方が分かっても、実際にネットの記事や研究を見たときに「これは信頼できる情報なの?」と判断するのは簡単ではありません。
そこで初心者の場合は、難しい統計まで理解しようとするのではなく、まず「何を調べたのか」「どのような方法で調べたのか」「誰をどれくらい調べたのか」「ほかの研究ではどうなのか」という順番で確認すると、情報を整理しやすくなります。
ただし、このチェックだけで正式なエビデンス評価ができるわけではありません。実際のガイドライン作成などでは、バイアスの可能性や結果の精度など、さらに多くの項目を専門的に評価します。
ここで紹介する方法は、エビデンスレベルとは何かを簡単に理解し、一般の読者が研究情報を読むときに「どこを確認すればよいか」をつかむための入口と考えてください。
最初から「高い・低い」を決めない
研究タイトルや「○○大学の研究」といった肩書きだけでは、エビデンスの確かさまでは分かりません。研究の中身を順番に確認してから判断することが大切です。
まず何をどのように調べた研究か確認する
研究情報を見つけたら、最初に確認したいのは「その研究が何を明らかにしようとしたのか」です。
たとえば、「コーヒーを飲む人は病気になりにくかった」という結果があったとしても、それだけでは「コーヒーを飲めば病気を防げる」とまでは言えません。
単に普段の生活を観察して関係を調べたのか、それとも条件を整えて介入し比較したのかによって、研究から読み取れることが違うからです。
特に気をつけたいのが、「関係があった」と「原因だった」を同じ意味にしないことです。
2つの出来事に関係が見つかっても、一方がもう一方の原因だとは限りません。別の要因が両方に関係している可能性もあります。
ニュースの見出しだけでは分からない
「○○で病気のリスク低下」「○○に効果」などの見出しだけでは、どのような研究から出た結果なのか判断できません。可能であれば、研究方法や対象者まで書かれている説明を確認しましょう。
対象となった人数や研究の規模を見る
次に確認したいのが、「何人くらいを対象にした研究なのか」という点です。
一般に、対象者が非常に少ない研究では、偶然による結果のばらつきが大きくなりやすく、効果の大きさを正確に推定することが難しくなる場合があります。そのため、研究規模は結果の確かさを考える材料の一つになります。
ただし、ここにも大切な注意点があります。「人数が多い=エビデンスレベルが高い」と単純には決まりません。
たとえば、何万人を対象にしていても、調べ方そのものに大きな偏りがあれば、人数だけでは問題を解決できません。反対に、珍しい病気では対象者を何万人も集めること自体が現実的ではない場合があります。
また、単純な参加人数だけでなく、結果の幅がどの程度なのかも重要です。効果の推定に大きな幅が残っていれば、「本当の効果がどのくらいなのか」をはっきり判断しにくくなります。
人数は「点数」ではなく判断材料
100人なら低い、1万人なら高い、という共通の境界線があるわけではありません。研究目的に対して十分な人数なのか、結果をどの程度正確に推定できているのかという視点で見ることが大切です。
一つの研究だけで判断しない
エビデンスを見分けるうえで、初心者にも実践しやすく、とても重要なのが「一つの研究だけを見て結論を出さない」ことです。
研究は、その時点で得られたデータを使って一つの疑問を調べたものです。そのため、同じテーマについて後から別の研究が行われると、最初の研究とは違う結果が出ることもあります。
特にニュースでは、新しく発表された一つの研究が大きく取り上げられることがあります。しかし、「新しい研究が出た」ことと「これまでの科学的な結論が変わった」ことは同じではありません。
同じテーマについて複数の研究があるなら、それらを体系的に探して評価したシステマティックレビューや、信頼できる診療ガイドラインなどを確認すると、個別研究だけを見るより全体像をつかみやすくなります。
「この研究で完全に証明された」「たった一つの研究で常識が覆った」といった強い表現を見た場合は、その研究だけでなく、それまでにどのような研究結果が積み重なっているのかも確認するとよいでしょう。
エビデンスレベルとは簡単に「研究の種類だけを見れば分かるもの」ではありません。一般の読者が情報を確認するときは、①何を調べた研究か、②どのような方法で調べたか、③誰をどのくらい調べたか、④ほかの研究でも同じような結果が出ているかを順番に見ると分かりやすくなります。最終的には一つの研究だけでなく、研究全体を見て判断することが大切です。
エビデンスレベルで何に注意?
エビデンスレベルを知ると、「できるだけレベルが高い研究を見れば安心」と考えたくなります。しかし、レベルだけで研究の価値や結論の正しさをすべて判断するのは避けたほうがよいでしょう。
エビデンスレベルとは簡単に、根拠の確かさを考えるための手がかりです。テストの点数のように、「上なら正解、下なら不正解」と判定するためのものではありません。
さらに、研究が発表された後に新しい研究が積み重なり、それまでの評価が変わることもあります。科学的な知識は、一度決まったら永久に変わらないものではなく、新しい証拠によって更新されていくものだからです。
数字や記号だけを切り取らない
「レベルA」「高」「レベル1」などの表示だけを見て判断するのではなく、何についての評価なのか、どんな研究が根拠になっているのかまで見ることが大切です。
レベルが高いだけで絶対に正しいとは限らない
エビデンスレベルについて最も誤解しやすいのが、「高いレベル=100%正しい」と考えてしまうことです。
研究では、限られた人を調べた結果から、より広い集団について考えることがあります。そのため、どれだけ丁寧な研究でも、結果にはある程度の不確かさが残ります。
この違いはとても重要です。たとえば、GRADEで「高い確実性」と評価される場合でも、その意味は「推定された効果が真の効果に近いことに高い確信がある」という考え方であり、「将来どんな研究が出ても絶対に結論が変わらない」という意味ではありません。
また、研究で「効果がある」という結果が得られたとしても、効果の大きさが実生活で意味のあるほど大きいかは別の問題です。統計上の差が確認されたことと、実際に大きなメリットが得られることも分けて考える必要があります。
「ある・ない」だけでは足りない
エビデンスを見るときは、「効果が確認されたか」だけでなく、「どのくらいの効果なのか」「どの程度確信を持てるのか」まで分けて考えると、研究結果を過大評価しにくくなります。
研究の質が低ければ信頼性が下がることもある
研究の種類だけを見ると上位に位置する研究でも、実際の研究の進め方に大きな問題があれば、結果への確信が下がることがあります。
ここで重要なのが、「研究デザイン」と「研究の質」を分けて考えることです。
たとえば、最初に決めていた評価項目の一部だけを都合よく取り上げたり、途中で研究から離れた人が多いのに十分な検討をしなかったりすると、結果の受け取り方には注意が必要になります。
さらに、複数の研究をまとめたシステマティックレビューでも、元になった研究そのものに大きな問題があれば、まとめたからといって弱点が消えるわけではありません。
「ランダム化比較試験だから安心」「メタアナリシスだから絶対」といった読み方は避けましょう。研究の種類は重要な手がかりですが、計画どおり適切に行われ、結果が正しく評価されているかも同じように重要です。
簡単な覚え方
「良い研究方法を選ぶこと」と「その研究をきちんと行うこと」は別。両方がそろって初めて、結果への確信を持ちやすくなります。
新しさや自分に当てはまるかも確認する
エビデンスを読むときは、研究の確かさだけでなく、「いつの研究なのか」「自分が知りたい人や状況に当てはまるのか」という視点も欠かせません。
まず「新しさ」については、単純に新しい研究ほど信頼できるという意味ではありません。古い研究でも、質が高く現在でも重要な根拠として使われているものはあります。
一方で、医療技術や治療法、診断方法などが変化している分野では、その後に新しい研究が発表され、全体の結論が更新されている可能性があります。そのため、古い研究を見つけた場合は、より新しいシステマティックレビューやガイドラインが出ていないかも確認するとよいでしょう。
たとえば、健康な若い成人だけを対象にした研究結果が、高齢者や別の病気を持つ人にもそのまま当てはまるとは限りません。また、海外で行われた研究について、医療制度や生活環境が異なる地域で同じ結果になるかを考える必要がある場合もあります。
こうした「知りたい対象や状況と、研究で実際に調べた対象・条件とのズレ」は、エビデンスの確実性を考えるうえでも重要なポイントです。
| 確認ポイント | 見る内容 |
|---|---|
| 研究の時期 | その後に重要な新しい研究が出ていないか |
| 対象者 | 年齢や健康状態などが知りたい対象と近いか |
| 条件・環境 | 治療方法や生活環境などに大きな違いがないか |
| 調べた結果 | 自分が本当に知りたい効果やリスクを調べているか |
「最新=最高」でもない
新しい研究が1本出ただけで、それまで積み重なった研究結果がすべて否定されるわけではありません。新しさだけでなく、研究の質と、それまでの研究全体との関係を合わせて見ることが大切です。
エビデンスレベルとは簡単に、情報を判断するための「重要な手がかりの一つ」です。ただし、レベルが高いという表示だけで絶対に正しいとは言えません。研究が適切に行われているか、新しい研究で評価が変わっていないか、そして知りたい人や状況に当てはまるのかまで確認すると、エビデンスをより正しく読み取れるようになります。
エビデンスレベルと推奨度は同じもの?
医療のガイドラインなどを見ていると、「エビデンスレベル」と「推奨度」が一緒に書かれていることがあります。どちらもA・B・Cなどで表示される場合があるため、同じものだと思いやすいところです。
しかし、基本的にはエビデンスの確かさと推奨の強さは別のものとして考えます。
つまり、エビデンスレベルとは簡単に「根拠についての評価」、推奨度は「その根拠などを踏まえて、実際にどうするかについての判断」と分けると理解しやすくなります。
この違いが大切なのは、根拠の確かさだけで「おすすめ度」が自動的に決まるわけではないからです。
ここを混同しない
エビデンスが比較的確かでも「強く推奨」とは限らず、反対に、エビデンスの確実性が十分高くない状況でも、利益と不利益などを踏まえて一定の推奨が示されることがあります。
根拠の確かさと「おすすめ度」は分けて考える
では、推奨の強さは何をもとに決まるのでしょうか。ここを理解すると、エビデンスレベルとの違いがさらに分かりやすくなります。
代表的なGRADEの考え方では、推奨を決める際にエビデンスの確実性だけを見るのではなく、望ましい効果と望ましくない効果のバランス、患者さんの価値観や希望、必要となる資源なども考慮します。
たとえば、ある治療に効果があることを比較的確かな研究で確認できたとしても、得られる効果が小さい一方で、副作用や治療の負担が大きいのであれば、「誰にでも強くすすめる」という判断にはならない可能性があります。
反対に、命に関わるような状況で、ほかに有効な選択肢がほとんどなく、期待できる利益が大きいと考えられる場合などには、エビデンスの確実性が十分高くなくても推奨が検討されることがあります。
| 状況のイメージ | エビデンス | 推奨は? |
|---|---|---|
| ケースA | 確実性が高い | 必ず「強い推奨」になるとは限らない |
| ケースB | 確実性が低い | 必ず「推奨しない」になるとは限らない |
このように、エビデンスは「判断に使う材料」であり、推奨は「複数の材料を検討したうえで示される判断」と考えると、両者の役割を区別しやすくなります。
ある資料の「A」がエビデンスの評価で、別の資料の「A」が推奨度を表していることもあります。アルファベットが同じだから同じ意味とは限りません。表のタイトルや凡例を確認して、「何を評価した記号なのか」を見分けましょう。
エビデンスレベル=「どのくらい確かな根拠なの?」、推奨度=「それを踏まえて、どのくらいすすめるの?」と覚えると分かりやすいでしょう。似た記号で表示されることがあっても役割は別です。この違いを知っておくと、診療ガイドラインなどを読むときの勘違いを減らせます。
エビデンスレベルとは?簡単に意味・見方・高い順を総まとめ
ここまで、エビデンスレベルとは何かを簡単に理解するために、意味や決まり方、高い順、見分け方などを見てきました。
いちばん大切なのは、エビデンスレベルを単純な「情報の点数表」だと思わないことです。
エビデンスレベルは、研究から得られた根拠をどの程度確かなものとして考えられるのか、あるいは研究デザインをどのように位置づけるのかなどを整理するために使われます。ただし、すべての分野で共通する一つだけの分類方法があるわけではありません。
エビデンスレベルが高い順を簡単に理解したい場合は、研究デザインの一般的な考え方として、「複数の研究を体系的にまとめる研究」→「条件を整えて比較する研究」→「人の状態や経過を観察する研究」→「少数の事例を調べた報告」→「専門家の意見など」という大きな流れを押さえておくと理解しやすいでしょう。
ただし、この並びを「上なら正しい・下なら間違い」と覚えるのはおすすめできません。研究の目的によって適した方法は異なり、上位に置かれる研究デザインでも、研究そのものの質に問題があれば結果への確信は下がることがあります。
① どの評価基準? → ② 何を評価している? → ③ どんな研究方法? → ④ 研究の質は? → ⑤ 自分が知りたい対象に当てはまる?
また、「エビデンスレベルC」と書かれていても、Cの意味は評価基準によって違います。記号だけを見て「Cだから信用できない」と判断せず、その資料の凡例や評価方法まで確認することがポイントです。
エビデンスレベルとは簡単に、「その情報をどのくらい確かな根拠として考えられるのかを整理するための目安」と理解すると分かりやすいでしょう。大切なのは、A・B・Cや順位を暗記することではありません。どの基準で評価されたのか、研究がどのように行われたのかまで見る習慣をつけることで、ネットやニュースで目にする「エビデンス」をより冷静に読み取れるようになります。
エビデンスレベルや研究の確かさについて、より詳しく確認したい場合は、以下の専門機関・公式サイトも参考になります。
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