ポジティブリストと対象物質の関係を食品衛生法からやさしく解説
「ポジティブリスト」って調べてみたけど、「対象物質って結局なに?」と手が止まっていませんか。
リストに載っている・いない、0.01ppm、合成樹脂…
言葉は出てくるのに、読めば読むほどモヤっとする。実はここ、多くの人がつまずくポイントです。
制度そのものよりも、
「どこを見ればいいのか」
が分からないまま情報だけ増えてしまうんですね。
しかも
「載っていない=危険?」
「証明書があれば全部OK?」
と不安ばかり先に立つと、余計に混乱します。
必要以上に怖く感じてしまうのも無理はありません。
そこでこの記事では、食品衛生法のポジティブリストを「対象物質」という視点にしぼって、身近な例でやさしく整理します。
難しい専門用語はなるべく使わず、「何から考えれば迷わないか」を順番に解説。
読み終わる頃には、ポジティブリストと対象物質の関係がスッと頭に入るはずです。
- 対象物質=食品に触れる材料
- 触れる面・層を先に特定
- 本体と混ぜ物で分けて理解
- 数字は条件つきで読む
- 最終判断は事業者が行う
「対象物質」の話だけだと少し分かりにくいと感じたら、
食品衛生法のポジティブリストを全体像からやさしく整理した解説 を先に読むと、制度の位置づけがスッと整理できます。
ポジティブリスト制度で整理する対象物質の考え方と全体像
ポジティブリスト制度について調べていると、「対象物質って結局なに?」「どこまでが対象なの?」と
ここで一度、頭がこんがらがる人がとても多いです。
この章では、親記事で触れた全体像を踏まえながら、ポジティブリストにおける“対象物質”の考え方そのものを、専門用語を使わずに整理していきます。
ポジティブリスト制度における「対象物質」とは何を指すのか
「物質」という言葉が指す範囲をやさしく理解しよう
「物質」って聞くと広すぎて不安になりますが、ここではイメージを3つに分けるとラクです。
| ざっくり分類 | 超かんたん説明 | たとえ(イメージ) |
|---|---|---|
| 基材(本体の材料) | プラスチックの“骨格”になる材料 | レゴの「ブロック本体」 |
| 添加剤(混ぜるもの) | 安定させる・やわらかくする等のために混ぜる成分 | 料理の「塩・油・スパイス」 |
| モノマー等(出発原料) | プラスチックを作るときの“もと”になる原料群 | パンの「小麦粉(材料の出発点)」 |
物質名の“完全一覧”は、告示・通知の別表や別紙が更新されうるため、ここで断定的に羅列すると逆に危ないです。
ここでは、どういう種類の「物質」が対象になるのか(考え方)に集中し、具体名が必要な場合は一次情報(公的資料)を参照してください。 (推測での断定はしません)
食品そのものではなく「触れる材料」が対象になる理由
ここ、めちゃ大事です。
噛み砕くと、器具・容器包装のポジティブリストは 「食品に触れる可能性がある“材料”から、余計なものが食品へ移らないようにする」 ための仕組みです。
食品そのものは、食中毒や添加物、表示など、いろんな観点でチェックされます。
それとは別に、容器や器具は“食品に触れる材料”として管理します。
ルール上の整理として、対象は(現時点では)合成樹脂製の器具・容器包装や、食品接触面に合成樹脂層がある場合の合成樹脂など、 “食品に触れる面の材料”に焦点を当てています。
ここを押さえると「対象/対象外」が理解しやすくなります。
食品に触れる「内側」はしっかりルールで管理。
一方で、外側のコーティングなど「食品に触れない部分」は、対象外として整理されることがあります。
ただし、対象外でも事業者が適切に管理する必要がある、という考え方が示されています。
対象物質は大きく2種類に分けて考えるとわかりやすい
容器や器具の形・強さ・基本性能を決める“土台”。
ここが変わると、見た目や耐熱・耐久が大きく変わります。
すべり・色・安定性など、使いやすさを調整。
本体は同じでも、ここが違うと性能差が出ます。
材料そのもの(プラスチックの本体部分)
- 形状・硬さ・耐熱などの基本性能
- どの用途に使えるかの大枠
「この容器はどの本体材料で作られているか?」が最初の分岐。ここが未確定だと、後工程(証明・説明)が進みません。
「同じ形・同じ色だから同じ材料」と思い込むこと。
見た目が似ていても本体材料が違うケースは珍しくありません。
混ぜて使うもの(性質を安定させるための成分)
- すべりを良くする
- 劣化を抑える
- 色や加工性を整える
種類が多く、少量でも影響すること。
そのため、本体とは別枠で確認・説明が必要になります。
- 本体材料とは分けて把握できている?
- 用途(触れる温度・時間)に合っている?
- 説明・証明の出どころは明確?
ポジティブリストに載っている・いないの違いを正しく理解する
ただし、例外は条件付きなので、ふわっと理解すると逆に危険です。
条件(規格)の範囲内で使える。
(代表例:少量ルール など)
例外の根拠・条件が説明できることが実務では超重要です。
「載っていない=即NG」ではないケース
まず正直に言うと、ポジティブリスト制度は「原則:載ってない物質は使えない」という考え方です。
でも、現場の運用では“一定の条件を満たすなら扱いが変わる”パターンがあります。ここを落ち着いて整理します。
“食品に移る量がとても少ない”など、法律の例外条件で制度の対象外として扱われる考え方があります。
施行前から使われていたものと同様の範囲で使う、という整理がQ&Aで示されています(用語「同様のもの」の定義など)。
- まずリストに載っているか(載っていれば規格内でOK)
- 載っていないなら、例外(少量ルール等)に当たる根拠があるか
- 根拠が出せないなら、「載っていない=原則NG」として扱う
「載っていないけどOK」のパターンは、“例外の条文・Q&Aの条件に当てはまるか”が全てです。
この記事内だけで個別案件の適否を断定するのは危険なので、根拠資料(公的Q&A等)を必ず確認してください。
例外的に使える少量ルールの考え方
ある資料では、食品中濃度が 0.01 mg/kg(= 0.01 ppm) を超えないよう加工されている場合は、制度の対象外と説明されています。
ざっくり言うと、食品に移る量が“測れるけど超小さい”レベル。ここでいう0.01 mg/kg(0.01 ppm)は、“超少ない”の目安として示されることがあります。
「0.01 ppm以下なら何でもOK!」ではありません。
“どの条件で”“どう測る前提で”その説明になっているかが重要。
根拠の出どころ(公的資料・業界資料)をセットで持つのが安全です。
- どの資料のどの説明を根拠にするか(Q&Aや案内資料など)
- 「0.01 mg/kg(0.01 ppm)以下」をどう担保しているか(加工・設計・試験など)
- 取引先から求められたときに説明できる形になっているか(情報伝達の観点)
「少量ルール」の具体的な適用は、製品構造・用途・条件で変わり得ます。
この記事では“考え方”と“確認ポイント”に絞り、個別の製品が適用対象かどうかは断定しません。
判断が必要な場合は、消費者庁のQ&A等の一次情報を軸に確認するのが安全です。
ポジティブリストにおける対象物質を具体例でやさしく理解
考え方がわかっても、「じゃあ自分の身の回りでは何が対象になるの?」とまだピンと来ない人も多いはずです。
この章では、食品容器や合成樹脂などの身近な例を使って、ポジティブリスト制度での対象物質を
実際の判断イメージに落とし込んでいきます。
対象物質になりやすい身近なケースを見てみよう
食品容器・包装でよく使われる材料の考え方
“容器”に見えるけど、対象物質として見るなら
内側に触れる層の材料(本体+混ぜる成分)をチェックします。
ラベルや外装フィルムは、食品に触れないなら見方が変わることがあります。
“トレーの材質”だけで終わらず、仕切り・フタ・パッキンなど
食品に触れるパーツが複数あるのが特徴。
対象物質の確認も、パーツごとに分けて考えるとラクです。
- 本体材料:容器の骨格(強さ・耐熱などの土台)
- 混ぜる成分:すべり・劣化対策・加工しやすさなどの調整
- 同じ“見た目の容器”でも、混ぜる成分の違いで性質が変わることがあります
どの材料が“対象物質としてどう扱われるか”は、製品の構造(単層/多層)や食品接触の有無で変わり得ます。
この記事では「考え方の型」を示し、個別案件の適否はメーカーの資料(仕様書・適合確認)で確認する前提です。
食品に直接触れる部分と触れない部分の違い
- 最優先で確認するゾーン
- 対象物質(本体+混ぜる成分)を材料単位で見に行く
- 多層なら「いちばん内側の層」をまず特定
- 基本は「接触しない」前提で見方が変わる
- ただし接触する可能性があるなら、扱いが変わる
- 印刷・ラベル・外装フィルム等は構造で判断
ヨーグルトカップの内側/惣菜パックの内面/ラップの内側/紙コップの内側コートなど。
“食品が触れるなら”まずここを対象物質目線で見ます。
外側の印刷/外装フィルム/外側ラベルなど。
ただし「条件によっては触れる」構造だと、非接触扱いはできません。
- 食品が触れるのはどの面(どの層)?をまず決める
- その層の本体材料と混ぜる成分を分けて考える
- 外側でも「触れる可能性」があるなら接触面として扱う前提で確認する
「触れない部分だから完全に無関係」とは言い切れません。
実際には構造・使い方・想定外の接触で扱いが変わる可能性があるので、
不安ならメーカーの適合確認書類や仕様を確認するのがいちばん安全です。
合成樹脂はすべて対象物質になるのかを整理する
ここでは迷わない切り分け方だけ覚えていきましょう。
食品に触れる器具・容器包装(または食品接触面の合成樹脂層)として使われる場合。
→ 「その合成樹脂層を作る対象物質」の話になりやすい。
食品に触れない場所で使われる合成樹脂(外装・装飾・外側の印刷等)。→ ただし「触れる可能性」があれば扱いが変わり得るので油断しない。
ポジティブリストで見ているのは、食品に触れる用途の合成樹脂層に使われる対象物質です。
合成樹脂という言葉が広すぎて混乱しやすい理由
合成樹脂は「プラスチック系の大きな家族名」みたいなもの。
だから“合成樹脂”だけだと、どの材料の話か特定できません。
見た目は1枚のフィルムでも、実は層が重なっていることがあります。
対象物質として見るなら「どの層が食品に触れるか」が重要です。
同じ合成樹脂でも、食品に触れる用途なのか、外装・装飾なのかで、チェックの深さが変わります。
「合成樹脂=全部“対象物質”としてリスト確認が必要」だと思い込むと、逆に本当に見るべき“食品接触面の層”を見落とすことがあります。先に“接触面”を特定してから、そこに使われる対象物質を見に行くのが安全です。
実際に判断するときのシンプルな切り分け方
- その部材は食品に触れる?(触れるなら次へ)
- 触れるなら、どの面・どの層が接触面?(内側の層を確定)
- その層の本体材料と混ぜる成分を分ける
- 最後に、取引先へ出すなら根拠(仕様・適合確認)の出どころを揃える
接触面(内側の層)が合成樹脂なら、
その層に使われる対象物質(本体+混ぜる成分)を確認する流れになりやすいです。
接触面が紙・金属などで、合成樹脂が外側や補強に使われている場合は、
“どこまでが接触扱いか”を構造で確認してから、対象物質の確認範囲を決めます。
個別の製品が「どこまで対象になるか」は、製品構造・想定用途(温度や時間)で変わります。
この記事は“切り分けの型”を示すもので、最終判断は仕様書・適合確認書類の確認が前提です。
ポジティブリスト適合証明書と対象物質の関係
何を証明していて、対象物質とどう結びつくのかをここで整理します。
適合証明書が見ているのは、食品に触れる材料を作るときに使われた“対象物質”。「どの物質が、どの条件で使われているか」を根拠付きで示す書類です。
容器や包装は、複数の材料・層・成分でできています。
証明書は完成品を丸ごと評価するのではなく、中身(対象物質)ごとの適合を積み上げます。
証明書が求められるのはどんな場面か
食品メーカーや商社から「この材料、ポジティブリスト大丈夫?」と確認されるとき。対象物質の根拠を一目で説明するために使われます。
社内の品質確認や外部監査で、説明責任を果たす必要があるとき。口頭説明ではなく、書面での裏付けが求められます。
適合証明書は法定様式が一つに決まっている書類ではありません。
取引先や業界で「これで説明できる」形にまとめた資料、という位置づけです。
「証明書がない=即違法」とは限りません。
ただし、説明できない状態はリスクになるため、結果的に証明書の形で整備されるケースが多い、という理解が安全です。
「物質」と「製品」を混同しやすいポイント
- 材料を作る中身の成分
- ポジティブリストで直接見る対象
- 規格・条件とセットで評価
- 複数の材料・層の組み合わせ
- 対象物質の結果としてできあがるもの
- 証明は“物質の積み上げ”で行う
適合証明書で答えているのは、「その製品に使われている対象物質は条件を満たしているか」。
「製品そのものを丸ごと保証する証明書」ではない点を、必ず共有しておきましょう。
問い合わせ対応では、「製品 → 構造 → 接触面 → 対象物質」の順で説明すると、
相手との認識ズレが起きにくくなります。
個別の製品について「この証明書で十分か」は、用途・取引先要求によって変わります。
この記事は考え方の整理にとどめ、最終判断は取引条件や公的資料に基づいて行ってください。
初心者がつまずきやすい誤解と注意点
数字だけでビビらない&「誰が最終判断するか」を知ると、一気にラクになります。
“数字がある”のは、むしろ安全を説明するための道具。
危険かどうかは「条件」「使い方」「どこが接触面か」までセットで考えます。
書類は大事。でも、製品の構造や用途が変わると確認ポイントも変わります。「何を、どの条件で」証明しているかを読みます。
基本は事業者が確認して説明する仕組み。
行政はルール整備・監視・基準づくりの側面が強いです。
安全か危険かを数字だけで判断しない考え方
- どんな食品に触れる?(水っぽい/油っぽい/乾燥など)
- 温度・時間は?(レンジ/熱湯/長期保存など)
- どの面(どの層)が触れる?(内側の層が何か)
- その層の本体材料+混ぜる成分は?
「0.01って書いてある」→「超えた?危険!」みたいに、
数字だけで判断してしまう。
「どの条件で、どのくらい移る想定?」→「接触面の材料は?」→「根拠は?」の順で、
説明できる形に落とす。
触れる面・層を特定
温度・時間・食品の種類
本体材料+混ぜる成分
仕様・証明・記録
「数字の意味」や「どうやって理論的に説明するか」は、ケースで考え方が変わります。
この記事は“数字の読み方の姿勢”を示すもので、個別の判断は取引先要件・公式Q&A・社内基準に沿って確認する前提です。
最終判断は誰がどこで行うのか
- 原材料側:対象物質の情報を用意(必要に応じて提供)
- 容器・包装の製造/販売/輸入側:取引先へ「適合を確認できる情報」を伝える
- 食品側(使う側):受け取った情報で“使ってOKか”を社内で確認し、記録を残す
実務では、その製品を作る・売る・使う事業者が、
仕様・証明・記録をそろえて「説明できる状態」にします。
行政側は、基準・リスト・Q&Aなどを整備し、必要に応じて監視・指導を行います。
ただし、日々の個別案件を全部“判子”で判断する仕組みではありません。
- 「食品に触れる面・層」を先に確定する
- 取引先からの要求(証明書・記録の粒度)を確認する
- 社内で“説明できる形”にまとめて保存する(後から追えるのが大事)
「誰が最終判断者か」は、法律の枠組み+取引の現実(監査や契約)で決まる面があります。
この記事は“考え方の地図”なので、最終的には取引先の要求資料と公式資料を合わせて確認してください。
まとめ|ポジティブリストと対象物質を正しく理解するためのポイント
ここまで読んできたあなたは、もう「ポジティブリスト=難解な制度」という段階を抜けています。
最後に、対象物質をどう考えれば迷わないかを、 実務でも日常理解でも使える形で整理しておきます。
ポジティブリストが直接見ているのは、食品に触れる材料をつくる中身(対象物質)。
容器や包装は、その結果としてできあがる集合体です。
迷ったら最初にやることはこれ。
どの面・どの層が食品に触れるかが決まらないと、対象物質の話は始まりません。
プラスチックの骨格となる材料と、性質を調整する成分。
この2つに分けるだけで、資料の読みやすさが一気に上がります。
数値は、条件つきで安全性を説明するためのもの。
数字だけを切り取って、OK/NGを即断しないのがコツです。
行政が個別製品に毎回OKを出す仕組みではありません。
事業者が説明できる状態にする、これが基本構造です。
- 食品に触れる面・層を決める
- その層の本体材料と混ぜる成分を分ける
- ポジティブリストの考え方に沿って説明できるか確認する
- 必要に応じて証明書・資料で裏付ける
この記事は「対象物質の考え方の地図」です。
個別の製品について最終判断を出すときは、制度全体を説明した別記事と公的資料に戻りながら、 この整理を当てはめて確認してください。そうすれば、ポジティブリストは必要以上に怖くない制度として理解できるはずです。


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