片山さつき財務相をめぐり、参院選の公示前に「全国比例区」と書かれたたすきを掛けていたとして、事前運動にあたるのではないかという疑いが報じられました。
でも、ニュースを見て
「そもそも事前運動って何?」
「公示前にたすきを掛けるだけで違反になるの?」
と疑問に感じた人も多いのではないでしょうか。
私も気になって調べてみると、たすきには独自のルールがあり、事前運動にあたるかどうかも一つの行為だけでは判断できないことが分かりました。
そこでこの記事では、片山氏の報道内容を整理しながら、事前運動とは何か、選挙で使うたすきにはどんな決まりがあるのかを、公職選挙法に詳しくない人にも分かりやすく整理していきます。
- 事前運動とは何かをわかりやすく整理
- 選挙で使うたすきのルールを解説
- 公示前のたすきは違反になるのか
- 片山氏の報道で注目された点を整理
片山さつき財務相をめぐり、公示前の集会で候補者名などが記された「たすき」を着用していたとして、事前運動にあたるのではないかという疑いが報じられました。
ただ、ニュースを見ただけでは「たすきを掛けることの何が問題なの?」「公示前だったからダメなの?」と疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。
まずは何が報じられたのかを整理しながら、事前運動とたすきが注目された理由を見ていきます。
片山さつき財務相に何が報じられた?
2026年10月4日、文春オンラインは片山さつき財務相について、公職選挙法で禁止されている「事前運動」にあたる疑いがあると報じました。
問題とされたのは現在の選挙ではなく、2022年の参議院選挙です。参院選が6月22日に公示される前の5月16日、片山氏は自民党東京都連女性局が東京・明治座で開いた観劇会に参加していたとされています。
文春オンラインによると、故・髙島直樹元東京都議のブログには、片山氏が「全国比例区 片山さつき」と記されたたすきを掛けて壇上に立つ写真が掲載されていたといいます。さらに、観劇会は「勝つぞ!」コールで終了したと記されていたと報じられています。
現時点で確認できるのは、「事前運動の疑いがあると報じられた」という段階です。報道されたことと、公職選挙法違反が正式に認定されたことは同じではありません。
私もここは重要だと感じました。単純に「公示前にたすきを掛けた=違反」と結論づけるのではなく、何が問題視されているのかを分けて見る必要があります。
文春オンラインの記事では、公職選挙法に詳しい日本大学法学部の安野修右准教授が、「全国比例区」という表示などから選挙運動用のたすきと見る余地が大きいとの趣旨を指摘しています。
今回はたすきだけが問題になっているわけではないと考えると分かりやすそうです。公示前という時期、「全国比例区」という表示、本人の名前、当日の状況などが合わせて注目されています。
一方、文春オンラインは片山氏の事務所に質問状を送ったものの、回答はなかったとしています。そのため、片山氏側が当時のたすき着用をどのような活動と考えていたのかは、現在確認できる情報だけでは分かりません。
では、公示前に名前入りのたすきを掛けると、どこから事前運動になるのでしょうか。ここからは、この疑問をもう少し詳しく見ていきます。
問題の観劇会はいつ行われた?
今回の事前運動疑惑を理解するうえで、私がまず確認したかったのが「観劇会は選挙のどれくらい前だったのか?」という点です。
報道で問題が指摘された観劇会は、2022年5月16日に東京・明治座で開かれた、自民党東京都連女性局の行事です。片山さつき氏が立候補した同年の参議院議員選挙は6月22日公示、7月10日投開票でした。
片山氏のたすき姿が撮影されたと報道
選挙運動が正式に始まる日
こうして並べると、観劇会は参院選の公示より1か月以上前だったことが分かります。つまり今回のポイントは、選挙期間中のたすきではなく、まだ選挙運動が始まる前の時期だったことです。
私も最初は「昔の観劇会がなぜ今問題になるのだろう?」と思いましたが、まず見るべきなのは行事の内容よりも、公示前だったという時系列でした。ただし、公示前に政治活動をしただけで直ちに事前運動になるわけではありません。では、そこで使われたたすきがなぜ注目されたのかを、次に整理していきます。
「全国比例区」と書かれたたすきとは?
今回の報道で私が特に気になったのが、片山さつき氏が掛けていたとされる「全国比例区 片山さつき」というたすきです。「名前が書いてあるだけでは?」と思ったのですが、調べてみると「全国比例区」という部分も重要なポイントとして指摘されていました。
参議院選挙には、都道府県を単位とする「選挙区」と、全国を一つの単位として議席を争う「比例代表」があります。片山氏は2022年参院選で比例代表に立候補しており、報道されたたすきには本人の名前だけでなく、どの選挙に関係するのかを連想させる「全国比例区」という表示もあったわけです。
本人の氏名に加えて、参議院の比例代表選挙を意識させる表示があったことが、今回の報道で注目されています。
文春オンラインの記事では、公職選挙法に詳しい日本大学法学部の安野修右准教授が、選挙の種類まで特定できる形で「全国比例区」と記載されているため、選挙運動用のたすきと見る余地が大きいとの趣旨を指摘しています。
ただし、ここで注意したいのは、「全国比例区」と書かれていたから、それだけで事前運動が確定すると単純に考えないことです。たすきには公職選挙法上のルールがあり、さらに演説会など会場内で使用できる例外もあります。今回の行為が法律上どう評価されるのかは、たすきの表示だけではなく、活動全体を見る必要があります。
私は最初、「名前入りのたすきだったこと」が中心の問題だと思っていました。しかし今回の報道を見ると、氏名だけでなく「全国比例区」という選挙を意識させる表示まであったことが一つの注目点になっています。つまり、たすきの見た目だけでなく、何が書かれていたのかまで確認することが大切そうです。
観劇会で行われた「勝つぞ!」コールとは?
たすきと並んで、今回の事前運動疑惑でもう一つ注目されているのが、会場で行われたとされる「勝つぞ!」コールです。私も最初は「掛け声まで問題になるの?」と少し意外に感じました。
報道のもとになった故・髙島直樹元東京都議の当時のブログでは、観劇会の前に「参議院議員総決起大会」が行われ、全国比例の候補予定者や東京選挙区の候補予定者らが挨拶や決意を述べたあと、参加者による「勝つぞ!」コールで終了し、その後に観劇会へ移ったとされています。
今回注目されているのは、単に参加者が「勝つぞ!」と声を出したことだけではありません。参院選を前に候補予定者らが集まり、決意表明などが行われた場で、参加者が声をそろえたという一連の状況が問題視されています。
文春オンラインの取材に対し、日本大学法学部の安野修右准教授は、選挙と候補者が特定され、当選に向けて参加者が声をそろえる場だったことから、事前運動にあたる疑いがあるとの見方を示しています。
ここまで調べてみると、「勝つぞ!」という言葉そのものを見て判断するのではなく、誰の、どの選挙について、どのような目的で行われた場だったのかまで見ることが大切だと分かります。
現時点で確認できるのは、専門家が事前運動にあたる疑いを指摘しているというところまでです。「勝つぞ!」コールがあったから、それだけで違反が確定するわけではありません。今回のケースでは、たすきや候補予定者の挨拶なども含め、当日の活動全体をどう見るかがポイントになりそうです。
なぜ公示前だったことが問題になる?
ここまで見てきて、「そもそも、なぜ公示前だと問題になるの?」という疑問が出てきました。調べてみると、公職選挙法では選挙運動を始められる時期そのものが決められていることがポイントでした。
東京都選挙管理委員会によると、選挙運動ができるのは、原則として公示・告示日に立候補の届け出をしてから投票日の前日までです。それより前に、特定の選挙で特定の候補者を当選させるための選挙運動をすると、いわゆる「事前運動」として禁止の対象になります。
ここは私も勘違いしやすいと感じました。公示前の政治活動がすべて禁止されているわけではありません。政策を伝える活動や党勢拡大、立候補の準備など、選挙運動にあたらない活動まで一律に禁止されているわけではないのです。
では、何が境目になるのでしょうか。選挙管理委員会の説明を見ると、政治活動などの形をとっていても、実際には投票を依頼するような内容であれば、行われた時期・方法・内容・対象などを踏まえて事前運動にあたるか判断されることになります。
大切なのは「公示前だったから違反」ではなく、「公示前に選挙運動をしていたのか」という点です。今回の報道でも、たすきや当日の発言などを含めて、その活動が選挙運動にあたるのかが問題になっていると整理すると分かりやすそうです。
つまり、今回の事前運動とたすきの問題を考えるうえでも、「公示前だった」という時期だけで結論を出すことはできません。実際にどのような行為なら事前運動になるのかは、このあとの見出しでさらに整理していきます。
現時点で事前運動の違反は確定している?
ここまで読むと、「結局、片山さつき氏は事前運動で公職選挙法に違反したことが確定しているの?」という点が気になります。結論から整理すると、2026年10月4日時点で確認できるのは、週刊文春が「事前運動にあたる疑い」を報じた段階です。
今回の記事では、公職選挙法に詳しい専門家が、たすきの表示や当日の状況から事前運動にあたる疑いがあるとの見方を示しています。しかし、これは専門家による法的な見解であり、それだけで片山氏の違反が確定したという意味ではありません。
また、文春オンラインは片山氏の事務所に事前運動の疑いについて質問したものの、回答は得られなかったと報じています。そのため、今回指摘された行為について、片山氏側がどのような法的認識や説明をしているのかも、現時点の公表情報では確認できません。
私も調べていて、「違反の疑い」と「違反が確定」はまったく別だと改めて感じました。今回のような報道では、専門家の指摘があっても、それをそのまま「違反した」と読み替えないことが大切です。
したがって、この記事でも現段階では「事前運動の疑いが報じられている」という表現にとどめています。たすきなどの具体的な行為が公職選挙法上どう扱われるのかは、次の見出しからルールそのものを詳しく調べていきます。
事前運動でたすきは違反?公職選挙法のルールを調べてみた

今回の報道で特に気になったのが、「公示前にたすきを掛けると、それだけで事前運動になるのか?」という点です。
選挙期間中には候補者がたすきを掛けて活動する姿をよく見かけますが、公示前となるとルールはどう変わるのでしょうか。
そこで、そもそも事前運動とは何なのか、たすきにはどのようなルールがあるのかを、公職選挙法の考え方から初心者にもわかりやすく整理してみます。
そもそも事前運動とは何かわかりやすく整理
事前運動とは、簡単にいうと選挙運動ができる期間より前に選挙運動をすることです。公職選挙法第129条によって禁止されています。
では、そもそも「選挙運動」とは何でしょうか。山口県選挙管理委員会では、特定の選挙で特定の候補者を当選させる目的で、投票を得るために必要・有効な行為と説明しています。
私は最初、「選挙が近づいてから候補者が活動すると事前運動になるのかな?」と思っていました。しかし、これは少し違いました。
立候補の準備や選挙事務所を借りるための交渉、政策を広める政治活動などは、一般的には事前運動とはされていません。ただし、政治活動という形でも、実際の内容が選挙運動になっていれば事前運動と判断される可能性があります。
「この行為をしたら必ず事前運動」という単純な一覧があるわけではありません。選挙管理委員会の説明では、時期・場所・方法・対象などを総合的に見て、実際に選挙運動だったのかが判断されるとされています。
ここまで調べて、私は「公示前の活動=事前運動」ではなく、「公示前に実質的な選挙運動をしたか」がポイントと考えると理解しやすいと感じました。では、選挙運動そのものは具体的にいつからできるのでしょうか。次はその期間を整理してみます。
選挙運動はいつからできる?
事前運動を理解するなら、「選挙運動はいつからいつまでできるのか」を知っておくと分かりやすくなります。私も調べる前は「公示日になった瞬間から自由に選挙運動できるのかな?」と思っていましたが、正確には少し違いました。
東京都選挙管理委員会によると、選挙運動ができるのは、公示日・告示日に立候補の届け出をしてから、投票日の前日までです。つまり、公示日になっただけではなく、候補者としての届け出を済ませていることもポイントになります。
そして、立候補の届け出より前に投票を依頼するなどの選挙運動を行えば、「事前運動」として禁止の対象になります。
ここで少しややこしいのが、「公示・告示」と「投票日」は同じ日ではないことです。公示・告示は選挙の日程や立候補に関わるスタート地点で、投票日はその後にやってきます。その間が、候補者がルールに従って選挙運動を行う期間になるわけですね。
私は「公示前か後か」だけを覚えるより、「立候補の届け出をしてから投票日前日までが選挙運動期間」と覚える方が分かりやすいと感じました。この期間が分かると、なぜ公示前のたすきが今回注目されているのかも見えてきます。
選挙で使うたすきにはどんなルールがある?
選挙といえば、候補者が名前の入ったたすきを掛けて街頭に立つ姿をよく見かけますよね。私も「選挙では普通に使われているものだから、たすき自体にはそれほど細かい決まりはないのでは?」と思っていました。
ところが公職選挙法を確認すると、たすきは単なる服装ではなく、選挙運動のために使う「文書図画」の一つとして扱われています。公職選挙法第143条では、候補者本人が使用するたすき・胸章・腕章などを、選挙運動で掲示できるものとして認めています。
ここは意外でした。選挙運動期間中に候補者本人が使用するたすきについては、大きさや記載内容に特別な制限はありません。一方で、候補者本人の名前が書かれた選挙運動用のたすきを、別の人が代わりに掛けることは認められていないと政府も国会答弁で説明しています。
東京都選挙管理委員会は、候補者になろうとする人などが個人の政治活動として、自分の氏名などを表示したたすきを着用することはできないと説明しています。つまり、「選挙運動用ではなく政治活動用だから自由に使える」と単純には考えられません。
ここまで調べると、たすきは「いつでも名前を入れて使えるもの」ではないことが分かります。選挙運動期間中に候補者本人が使う場合と、それ以外の時期に政治活動として使う場合では、ルールの見方が変わってくるわけですね。
では今回のテーマでもある、公示前に名前入りのたすきを掛けた場合はどう考えればよいのでしょうか。ここからが「事前運動」と「たすき」の関係を理解する重要なポイントなので、次で詳しく整理してみます。
公示前に名前入りのたすきを掛けると違反になる?
ここまで調べると、「では、公示前に自分の名前を書いたたすきを掛けたら、それだけで事前運動になるの?」という疑問が出てきます。
この点は少し整理が必要でした。東京都選挙管理委員会によると、選挙が行われていない平常時でも、現職や立候補予定者などが個人の政治活動として、自分の氏名などを表示したたすきを着用することはできないとされています。
公示前の個人の政治活動で、候補者等の氏名を表示したたすきを着用すること自体に規制があります。
さらに、その活動が実質的に特定の選挙で当選を目指す選挙運動なら、公示前は事前運動の問題も出てきます。
私はここを調べるまで、「公示前の名前入りたすき=事前運動だから禁止」という一つのルールだと思っていました。しかし実際には、名前入りたすきには文書図画の掲示に関する規制があり、それとは別に事前運動のルールもある、と分けて考えた方が分かりやすそうです。
つまり、公示前に名前入りのたすきを掛けていたとしても、その事実だけから「事前運動だった」と自動的に決まるわけではありません。事前運動にあたるかについては、その活動が特定の選挙で特定の候補者を当選させるための選挙運動だったのかを別に見ていく必要があります。
「名前入りたすきに規制があること」と「事前運動にあたること」は同じ話ではありません。今回のようなケースを考えるときも、まずたすき自体のルールを確認し、そのうえで当日の活動全体が事前運動だったのかを見る。この2段階で整理すると理解しやすいと感じました。
たすきを掛けただけで事前運動になるの?
ここで気になるのが、「名前入りのたすきを掛けていた」という事実だけで、事前運動になるのかという点です。前の見出しでは、名前入りたすき自体に掲示のルールがあることを確認しましたが、それと「事前運動にあたるか」は分けて考える必要があります。
結論からいうと、たすきを掛けたという一つの行為だけを見て、自動的に事前運動と決まるわけではありません。事前運動かどうかは、その活動が実質的に「特定の選挙で特定の候補者を当選させるための選挙運動」だったのかによって判断されます。
たすきは判断材料の一つにはなりますが、実際にはどのような場で、誰に向けて、何を目的として使われたのかといった周囲の状況も重要になります。
山口県選挙管理委員会も、ある行為が選挙運動にあたるかについては、時期・場所・方法・対象などを総合的に見て、実質に即して判断されると説明しています。
つまり、同じようにたすきを着用しているように見えても、その場で何が行われていたのかによって事前運動の評価は変わり得るということですね。
私は最初、「公示前に選挙らしいたすきを掛けていたなら、それだけで事前運動なのでは?」と思っていました。しかし、たすきの問題と事前運動の認定はイコールではないと考えるのが大切でした。では、具体的に何を基準として事前運動かどうかを判断するのでしょうか。次はその判断材料をもう少し詳しく見ていきます。
事前運動かどうかは何を基準に判断される?
では、実際に事前運動かどうかは何を基準に判断されるのでしょうか。調べてみると、「たすきを掛けた」「候補者があいさつした」といった一つの行為だけで決めるのではなく、その活動の実態を見ることが重要だと分かりました。
山口県選挙管理委員会では、選挙運動にあたるかについて、行為が行われた時期・場所・方法・対象などを総合的に観察し、実質に即して司法当局が判断すると説明しています。
私は最初、事前運動には明確なチェックリストがあるのかと思っていました。しかし実際には、個々の事情を組み合わせて、その活動が実質的に選挙運動だったのかを見るという考え方になります。
特定の選挙を意識した行為だったか
一つ目に押さえておきたいのが、「どの選挙についての活動なのか」が具体的になっていたかという点です。
選挙運動は、単に政治家を応援したり政策を支持したりする活動ではなく、「特定の選挙」について行われることが前提になります。そのため、選挙の種類や時期などから、どの選挙を念頭に置いた活動なのかが分かる状況だったかは重要な要素になります。
逆に考えると、一般的な政策の説明や日常的な政治活動まで、選挙が近いという理由だけで事前運動になるわけではありません。政治活動と選挙運動を分ける最初の手掛かりになる部分だと理解できました。
特定の候補者の当選を目的としていたか
二つ目は、その活動が特定の候補者を当選させる目的だったのかという点です。
たとえば政治家が政策を説明したり、議員として活動報告をしたりすることと、「この選挙でこの人を当選させよう」と投票を働きかけることでは意味が違います。後者のように特定の候補者への投票を得る目的が認められると、選挙運動としての性格が強くなります。
「政治家を応援している」ことと、「選挙でその候補者に投票してもらうために活動する」ことは同じではない。ここを分けると、政治活動との違いもかなり見えやすくなります。
時期・場所・発言なども含めて判断される
さらに難しいのが、活動の目的は一つの言葉や行動だけでは判断しにくいという点です。そのため、実際には行為が行われた時期や場所、方法、誰を対象にしていたのかなど、周囲の事情も含めて見られます。
発言の内容も、その活動の性格を考える材料になり得ます。ただし、「この言葉を使えば必ず事前運動」という単純なルールではなく、その言葉がどのような場面で、どのような目的で使われたのかまで含めて考える必要があります。
事前運動の判断で大切なのは、目立つ一つの行為だけを見るのではなく、「どの選挙について」「誰を当選させるために」「実際に何をしていたのか」を全体として見ることでした。この考え方を押さえておくと、たすきだけで違反かどうかを断定できない理由も理解しやすくなります。
政党の集会や観劇会ならたすきを掛けても問題ない?
今回の報道を見て、私がもう一つ気になったのが「政党が開いた集会や観劇会の中なら、名前入りのたすきを掛けても問題ないのでは?」という点です。街頭活動とは違い、屋内の集会には例外的なルールがあります。
選挙管理委員会の案内では、政治活動のために行う演説会・講演会・研修会などに類する集会について、その会場内で開催中に使用する文書図画には例外があります。そのため、氏名などを表示したものでも、一定の場合には会場内で使用できるとされています。
公職選挙法では、政治活動の文書図画を何でも自由に掲示できるわけではありません。一方、政治活動のための演説会などの会場で、その集会の開催中に使用するものについては例外が設けられています。
ただし、ここで注意したいのは、「政党の集会なら何をしても大丈夫」というルールではないことです。そもそもその催しが法律上の例外にあたる集会なのか、そこで行われた活動が通常の政治活動だったのかは別に考える必要があります。
さらに、会場内で文書図画を使用できる場合であっても、そこで実質的に公示前の選挙運動が行われていれば、今度は事前運動の問題が出てきます。つまり、「たすきを会場内で使えるか」という問題と、「そこで何をしていたか」という問題は分けて見る必要があるわけですね。
ここを調べて、私は「観劇会だったから問題ない」「政党行事だったから事前運動になる」のどちらとも単純には言えないと分かりました。行事の名称だけではなく、実際にどのような集会で、会場内で何が行われていたのかを見る必要があります。
今回の片山さつき氏のたすきは何が注目されている?
ここまで公職選挙法のルールを調べたうえで今回の報道に戻ると、片山さつき氏のたすきだけが単独で問題視されているわけではないことが見えてきます。
注目されているのは、たすきの表示に加えて、公示前の政党行事でどのような活動が行われていたのかという一連の状況です。つまり、「たすきを掛けたかどうか」だけではなく、その場が選挙運動としての性格を持っていたのかが焦点になっています。
氏名だけでなく、どの選挙への立候補を示すものだったのか
予定候補者によるあいさつや決意表明などが行われていたと報じられていること
選挙での勝利を意識させるような一体的な行動があったと報じられていること
週刊文春の記事で専門家が事前運動の疑いを指摘しているのも、こうした複数の事情をまとめて見たうえでの評価です。これまで確認してきた「事前運動は活動全体の実態から判断される」という考え方が、今回のケースにも関係しているわけですね。
私も最初は「片山氏が公示前にたすきを掛けたこと」が中心のニュースだと思っていました。しかしルールを調べてから見ると、たすきは一つの手掛かりであり、その周囲で行われていた活動も含めて注目されていると考えた方が分かりやすいと感じました。
ただし、これらはあくまで事前運動の疑いが報じられている理由を整理したものです。現時点で片山氏について公職選挙法違反が確定したわけではありません。今回の報道は、「たすき一つで違反かどうかを決める」のではなく、選挙前の政治活動をどのように判断するのかを考える事例として見ることが大切そうです。
事前運動とたすきの問題を調べて感じたこと【まとめ】
今回、片山さつき氏の報道をきっかけに事前運動とたすきのルールを調べてみましたが、私が一番感じたのは、ニュースの見出しだけでは判断しにくい問題だということです。
最初は「公示前に名前入りのたすきを掛けたら、その時点で事前運動になるのでは?」と思っていました。しかし、公職選挙法を確認していくと、たすきに関する文書図画の規制と、事前運動にあたるかどうかの判断は分けて考える必要があることが分かりました。
- 選挙運動にはできる期間が決められている
- 立候補届出前の選挙運動は事前運動として禁止される
- 名前入りのたすきには別途、文書図画のルールがある
- 政治活動と選挙運動は同じではない
- 事前運動かどうかは実際の活動内容を踏まえて判断される
特に印象に残ったのは、「一つの行為だけを見て結論を出さない」という点でした。たすきだけでなく、どのような選挙を念頭に置いた活動だったのか、誰の当選を目的としていたのか、どのような場で何が行われていたのかまで見る必要があります。
選挙のニュースでは「違反の疑い」という言葉が目立ちますが、疑いが指摘されている段階と、実際に違反と判断された段階は分けて読むことが大切だと感じました。公職選挙法は細かなルールが多いからこそ、事実と評価を切り分けて確認したいところです。
今回の片山氏についても、現時点では事前運動の疑いが報じられている段階です。今後、新たな説明や公的な動きが出た場合には、その内容を確認しながら追記していきたいと思います。
この記事では、報道内容に加えて、選挙管理委員会などが公表している資料を参考にしています。
- 文春オンライン|片山さつき財務相の事前運動疑惑に関する報道
- 東京都選挙管理委員会|選挙Q&A(選挙運動と政治活動)
- 山口県|「事前運動の禁止」とはなんですか?
- 東京都北区|個人の政治活動用文書図画の掲示(使用)の規制
※リンク先の内容は変更・更新される場合があります。



